「フィトケミカル」が心身の不調を救う!とにかく野菜を食べよう
冬になると野菜が甘くなるのをご存知でしょうか。大根、ほうれん草、小松菜など夏にも出回る野菜ですが、冬になると糖度が増して一層美味しく感じられます。これは、野菜が寒さの中でも凍ってしまわないように、自ら糖分をつくって凍死するのを防いでいるのです。私たちは寒さと闘って生き抜いた野菜を食べてエネルギーにしているのです。
その昔、小松菜農家さんからそんな話を聞きました。今回は野菜に含まれる最強の栄養素「フィトケミカル」をご紹介します。
(「野菜は最強のインベストメントである」医学博士 栄養管理士 岩崎真宏著)
1、「フィトケミカル」は最強の「抗酸化作用」がある
「フィトケミカル」とは、野菜を含めた植物が外敵や紫外線など、外からの攻撃から身を守るために作り出した物質の総称です。そのため、フィトケミカルと一口に言っても、野菜によって身を守る方法は異なるため、フィトケミカルにも多数の種類があります。
香りで成分であったり、色や渋み、辛味やネバネバなど。しかし、どんな種類のフィトケミカルであっても、共通していえることがあります。それは「最強の抗酸化作用」があることです。
2、「活性酸素」が老化、ガン、心筋梗塞、脳梗塞を引き起こす
「活性酸素」という言葉を聞いたことがありますか?人間の体は、各機官や細胞を正常に保つために、常に呼吸をし、取り込んだ酸素が体内のさまざまな物質と結びつくことで、新陳代謝を促し、免疫力を保つ働きを担っています。本来結びついた酸素は、水素と結合し、水として処理されるのですが、一部の酸素は、しっかりとした結合ができず、不安定な状態になってしまいます。この不安定な状態になった酸素が「活性酸素」です。
活性酸素は少量ならば、体に良い影響を与えます。免疫系の一つとして活躍したり、新陳代謝に貢献したりと、体内を健康に保つために利用されているのです。
しかし、増えすぎてしまったとき、活性酸素は安定を求めて様々な物質と結合しますが、数が多すぎると生命活動に必要な物質とも結びつき、軽い症状では、皮膚や細胞が傷つけられ、シミやシワが増えるなだ、見た目の老化が激しくなる。重い症状なら、ガンになりやすくなったり、心筋梗塞、脳梗塞、パーキソン病、アルツハイマー病、糖尿病、免疫疾患など、並べるだけでも恐ろしい病気を引き起こしてしまうのです。
3、紫外線、タバコ、加齢による「酸化ストレス」にフィトケミカル!
活性酸素が増えすぎた状態を「酸化ストレス」と言い、活性酸素が増える要因には紫外線やストレス、タバコ、飲酒、運動不足や不摂生な生活習慣、さらには加齢などが挙げられます。ストレス社会に生き、運動から遠ざかり、仕事に忙殺され生活習慣が乱れている。これらに該当しないという人の方が、もはや珍しい時代です。現代人の多くが、すでに酸化ストレス状態といっても過言ではないでしょう。さらに老化も原因なので、年を取れば否応無く酸化ストレス状態になるということも忘れてはいけません。
鉄などの金属が酸素と結びつくと錆てしまうように、活性酸素の活動は体に錆をつくるようなもの。この錆落としとしての役割こそが「抗酸化作用」であり、ここで大活躍してくれるのがフィトケミカルというわけです。
今まで発見されているフィトケミカルは1万種以上といわれ、新たな機能性や新たなフィトケミカルが今でも発見され続けています。それでも氷山の一部。フィトケミカルはまだまだ正体不明の点が多いのです。
発見済みのフィトケミカルは大きく分けると「カロテノイド系」「ポリフェノール系」「イオウ化合物系」などに分かれます。野菜をしっかり食べた翌日の「すっきり感」や「体が軽い感じ」といった体感は、未だ未発見のフィトケミカルが働いた可能性もあるのです。
フィトケミカルの魅力はざっと挙げても次の通りです。
*リコピン「血圧」 *アントシアニン「内臓脂肪」 *カプサンチン「コレステロール値」 *カテキン「老化防止」 *アスタキサンチン「疲れ目」 *ロスマリン酸「記憶力がなくなってきた」 *ルテイン「暗いところが見えにくい」 *ケルセチン「血流改善」 *アリシン「スタミナ不足」 *βクリプトキサンチン「骨密度」ほか。次号につづく。