歌舞伎から生まれた言葉「なあなあ」「捨てぜりふ」
コロナ禍が一段落し、コンサートや劇場は再び活況を呈していますね。先日は名古屋の御園座(みそのざ)に行きましたが、平日にも関わらず昼の部、夜の部ともほぼ満席。歌舞伎ファンの熱と、主演の中村勘九郎、七之助兄弟の人気の高さを感じ入った次第です。
一方で歌舞伎にはまったく興味がないし、観たこともないという人もいるでしょう。しかし、私たちが普通に使っている言葉の中には、歌舞伎から生まれた言葉もたくさんあります。今回はその一部をご紹介したいと思います。そしてもし機会があれば、日本が誇る伝統文化のひとつである歌舞伎の生のステージを是非一度ご覧いただきたいと思います。
1、愛想づかし(あいそづかし)
意 味:相手が嫌になってつれない態度をとる
歌舞伎:相思相愛の男女が縁を切る場面、縁切場ともいう
2、板につく(いたにつく)
意 味:物腰などがその職業・立場等によく似合っている
歌舞伎:俳優の芸や演技が舞台に調和している
3、市松模様(いちまつもよう)
色違いの正方形を互い違いに組み合わせた紋様。石畳模様。寛保元年(741年)初代佐野川市松がこの模様の衣装を着たことから大流行し、市松模様と呼ばれた。
4、捨てぜりふ(すてぜりふ)
意 味:別れ際にいう、相手を脅迫、軽蔑する言葉
歌舞伎:台本に書いていないせりふを臨機応変にいうこと
5、なあなあ
意 味:物事を馴れ合いで行う
歌舞伎:歌舞伎の定型的な演技のひとつ。二人の登場人物が内緒話をする場面で、一人が耳元で「なあ」といえば、もう一人が「なあ」とうなずき返すこと