SDGsと健康経営~企業経営にSDGsを活用しよう
★ 「SDGs」とは、持続可能ですべての人々にとってよりよい世界を、誰一人取り残さないで目指すための国際的な目標。2030年までの達成を目指す!
★ 健康経営に関連すると思われるSDGsの目標やターゲットはありますが、健康経営や経営そのものを見直す視点やきっかけとして、いかに経営に「活用」するかが大事
1、社会課題は違う側面ですべてつながっている
周知の通りSDGsとは「Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標)」の略称で、貧困、飢餓、教育、平等、環境、経済成長、生産、消費など幅広い課題で設定された17の目標(ゴール)と169のターゲットからなっています。
各開発目標は持続可能な経済、社会、環境の側面を統合したもので、互いに独立したものではなく、統合的に取り組む必要があるという考え方がとられ、それらの3つの側面における経済成長、社会的包摂、環境保護を調和させ、バランスのとれた方法で達成することが求められています。
たとえば、飢餓という課題ひとつをとってみても、気候変動や環境保護、農業生産というわかりやすい関連課題だけでなく、平和、教育、経済成長も関係しているといえるように、すべての目標が相互に関係していることです。
また目標達成には、国際機関、国家政府、地方自治体、コミュニティ、民間企業、団体、消費者、有権者などの一般の人々など多種多様な主体(マルチステークホルダー)が協同して課題解決にあたるという考え方が重視されています。
2、持続可能な企業のためにSDGsを活用する
当たり前のことですが、企業が長期にわたり社会課題解決に取り組むためには。企業経営自体も「持続可能」でなければならず、その意味で「健康経営」はSDGs推進にとっても重要あるといえます。企業にとっては「人」が最も重要な資源、資本であり、社会課題に立ち向かう企業活動を続けるためにも「関わる人々が心身ともに健やかに働き続けられること」が必要不可欠であるからです。
「健康経営」は単に働く人々の「心身の健康」のみを意味するのではなく、すべての人の「働きやすさ」「働き続けられる環境」「働きがい」「働く幸せ」までを含むと考えると、健康経営に関係するSDGsの目標は幅広いといえます。
また、SDGsは社会全体で持続可能なより良い世界を目指すものなので、自社だけでなく取引先、協力企業、顧客の健康も考える必要があります。自社のビジネスに関係するさまざまな人々の健康まで考えると、多くのSDGsの目標が健康経営に関連するといえます。
3、「社会課題」を「自分ごと化」に
仮に従業員の心身の健康だけ考えても、事故防止を徹底したり、残業を減らしたり、健康診断の結果を踏まえて受診を勧めるだけでは守りきれません。たとえば、職場の気温や日当たり、オフィス家具や機器の使いやすさ、VDP(コンピューターディスプレイの端末など、長時間見続けることによる健康障害)、ノンストレスなソフトやアプリ、通信環境の確保など、さまざまな執務環境の維持向上に努めることや、メンタルヘルスのために仕事の仕方を見直すこと、社内外の人間関係、コミュニケーションに気を配ることも必要です。
また、SDGsの目標やターゲットを切り口にして考えると、従業員の安全安心を担保するために災害に備えるという課題も見えてきます。働きやすさや働きがいのために、差別やハラスメント、暴力、非合理なチャンスの差のない職場づくり、能力開発、家族計画、不妊治療や子育て・介護と両立できる働き方の保護など、さまざまな課題があることに気づきます。SDGの考え方や目標、ターゲットは「健康」に限らず、経営全般の計画や目標を持った経営のための視点の例として活用することも可能です。「教科書」のように「ルール」を守るというよりも、いかに経営に「活用」するかが大事です。
「社会課題」を「自分ごと化」するためにも、各目標やターゲットを会社の状況に鑑みて自分たち目線で具体化したり、明確化したりしてみましょう。