まだ子どもが小さい頃、「マジで?」「すげぇ?」「ヤバ?」というような言葉を使うと、「その言葉を他の言葉に言い換えるとしたら、どんな言葉がある?」と、訊いていました。俗語や流行語は放っておくと、雪崩のように子どもたちの生活空間の中に遠慮なく入ってきます。友達同士のノリで暗号のように使うと楽しい言葉も、それが通じない世界もあるのです。
それは大人になっても同じではないかと思います。言葉は「身だしなみ」と同じで、相手との関係性や状況に応じて「相手に不快感を与えないように」整える必要があります。
初対面でいきなりタメ口だと、「なに、この人?」と思いますし、大事なプレゼンで、「私的には、ありだと思います」などと口走ると、信頼を失うことになりかねません。
また面白いことに言葉づかいは、にわかに「人となり」を表すものでもあります。雑な言葉を使っていると、「雑な人なんだろうな?」と思ってしまいますし(本当はそうでなくても)、優しい口調だと、その人の優しさを感じるものです。
当たり前のことを長々と述べてしまいましたが、言葉を「言い換える力」は、上司への報告、会議での発言など、ビジネスでも役に立ちます。
コミュニケーションとは「情報共有」「意思の疎通」という意味です。面と向かって「話す」ことだけではなく、不特定多数の人に「書いて伝える」こともコミュニケーションです。メールやビジネス文書だけでなく、ライン、インターネット、インスタグラムなどのSNSで、商品やサービスの紹介をすることがあります。
果たして「書き手」の意図が、「読み手」に文字・文章を介して、誤解なく伝わるかどうかは甚だ難しいところです。次に挙げた文章についてはいかがでしょうか。
<例文>
スピーチが上手くなるコツは一文を短くすることなので、文章を分けることや文章を削ることなどを注意し、なるべく主語と述語が離れないようにすることです。(70字)
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<修正>
スピーチが上手くなるコツは一文を短くすることです。(24字)
(そのために)文章を分けることや文章を削ることなどを注意しましょう。(26字)
(また)なるべく主語と述語が離れないようにすることです。(23字)
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<ポイント>
- 一文の文字数は一息で言える長さにします。(40字程度、長くても60字まで)
- 短い文章を重ねることで理解を促しやすい。
- 接続詞がなくても伝わる文章の並びがベター。(基本的に文字数が限られる新聞記事は接続詞を使用していません。接続詞がなくても伝わる文章の並びになっています)
- 書いた文章は必ず声に出して、漏れやダブりがないかチェックしましょう。
その他、あいまいな表現を避ける、句読点の打ち方など、今後もご紹介したいと思います。