間違えやすい日本語100選~「ご試着していただけます」「お送りしてください」
今やSNS時代。インスタグラムやユーチューブなどで簡単に個人が世界に向けて情報発信できる時代です。何人もの人が、時間をかけて文章を推敲して一冊の本が出来上がるのと違って、誰の
チェックも入らず良いも悪いも思うままに発信または受信できてしまいます。
それはそれでメリットもたくさんあるのですが、間違った言葉や表現が蔓延するという現象もあります。それは特に指摘されることも少ないので、間違った言葉を、間違いと気づかないまま、正しいと信じて使うこともあります。
「言葉の乱れは、文化崩壊の始まり」という人もいますが、言葉は心を移す鏡であり、思考を深めるツールでもあります。「間違えやすい日本語100選」を参考に、日頃から私自身が気になっているものをご紹介します。あなたは以下の言葉を無意識に使っていませんか?
1、「ご(お)」と「して」は同居しない ~「ご記入してください」「お送りしてください」
洋服を見ていたら「ご試着していただけますよ」と接客されて、その後、レジで「サインをご記入してください」と言われ、「あぁ、この店ではこれが正しい用語として使われているのだ」と、思いました。間違ったマニュアルは、間違ったままで共通言語となっていくのです。
他にも「お送りしてください」「ご説明していただきます」「ご注目してください」など、「ご(お)」と「して」が同居している間違いは珍しくありません。
「ご(お)」をつけたら「して」は外しましょう。
「ご記入してください」→「ご記入ください」「記入してください」
「お送りしてください」→「お送りください」「送ってください」
2、「さわり」の部分って、どの部分? ×最初の導入部分 →○話のメインの部分
「さわり」とは、話の要点や最も興味を引く部分のことを指します。話の初めの導入部分と思っているとしたら、それは間違いです。もともと「さわり(触り)」は三味線の伴奏で大夫が語る、浄瑠璃の用語だそうです。そのため、音楽でいえば最も優れた「サビ」を指す言葉なのです。
3、「やぶさかではない」って、しぶしぶという態度? ×~してやっても良い →○~するのに協力を惜しまないよ!
もう10年以上も前のこと。ある企業の偉い方にイベントの協力要請をしたら「こちらとしても、やぶさかではない」という返事があり、「協力してあげてもいいよ」という上から目線的な態度なのだと誤解したことがあります。
「ない」という否定の言葉がついているため「してあげてもいい」「いやではないよ」というニュアンスでとられがちですが、「やぶさか」は「けちけちする」「出し惜しみする」という意味のため、「やぶさかではない」は「けちけちせずに協力する」という肯定的な意味になるのです。
4、「鳥肌が立つ」って、良い意味?悪い意味? ×感動する →○不快感を表す
「鳥肌が立つ」は、気持ち悪い、ぞっとする、恐怖を感じるなどマイナスの感情を表す言葉です。「感動して鳥肌が立ちました」の表現は誤用です。
5、「煮詰まる」会議は素晴らしい! ×アイデアが出ずお手上げ状態 → ○十分に議論ができた
「たくさん話し合ったが、これ以上アイデアが出ない。煮詰まってしまった」というのは誤りです。「煮詰まる」とは、十分話し合いがなされて、考えや方向性がまとまってきたという肯定的な意味になります。「煮詰まる」会議は素晴らしい!
6、「浮き足立つ」のは、ウキウキではない ×ウキウキして落ち着かない →○恐れを感じて落ち着かない
「浮き足」は、かかとが地についていないつま先立ちの状態で、恐れを感じて逃げ腰になり、落ち着かない様子をいいます。明日のゴルフが楽しみで「浮き足立っている」などの使い方は間違いです。
いかがでしょうか。意外と間違いに気づかないまま使っていあるものもあるかもしれませんね!