カップだけ持ち上げるのか、ソーサーも持ち上げるのか?
マナー講座をしているとこんな質問がありました。
「映画を見ていると、英国風アフタヌーンティーのシーンで主人公の女性が、カップとソーサー(お皿)を持ち上げて、エレガントにティータイムを楽しんでいました。やはりお皿と一緒にカップを持ち上げて飲んだほうがいいのでしょうか」
思わず、中世のヨーロッパで貴族たちが優雅にお茶を楽しむ姿を連想してしまいました。たしかに、カップだけを持ち上げるよりも、ソーサーごと持ち上げて片手にソーサー、片手にカップをつまんで飲むほうが美しくみえる感じがします。
実は、これはどちらも正しいのですが、状況によって異なります。
たとえば、ソファーに座ったときは、テーブルが低く、テーブルから口元まで運ぶのに距離があります。そんなときカップだけ持ち上げると、飲み物をこぼすなどの粗相があるかもしれません。そのため、ソーサーごと持ち上げて胸の位置で左手にソーサー、右手にカップを持っていただきます。立食パーティのときもテーブルと口元まで距離があるので、ソーサーと一緒に持ち上げます。
通常のテーブルであれば、ソーサーは持ち上げずカップだけを持っていただきます。
いずれの場合も、カップの取っ手に指を入れません。親指、人差し指、中指の三本で取っ手をつまむようにして持ちます。(マグカップの場合は別)
なお、日本茶の場合は茶托を持ち上げることはありません。右手で湯呑みを持ち、左手は湯呑みの底に添えていただきます。
共通しているのは、カップに口元を近づけるのでなく、口元にカップを近づけるようにすること。猫背にならず背筋を伸ばしていただくと、見た目の所作も美しく、粗相をすることも少ないでしょう。とはいえ、最近はどこへ行ってもペットボトル主流ですけどね、、、。