「本を読む」ためだけの旅
ことの是非はさておき、政府が推進するGo to トラベル、Go to キャンペーンは、「コロナの不安がなければ、こんな旅をしたい!」と、旅心を刺激します。
旅の目的は様々。人気スポットを観光する、美味しい食事やスイーツを味わう。または、友人や家族との時間を楽しむなど、旅はいつも私たちをワクワクドキドキさせてくれます。
あるフランス人女性は、スーツケースを持って数日間のひとり旅に出かけました。
旅から戻ってきた彼女に友人が尋ねました。「旅先でだれかと合流したの?観光したの?」と。すると女性は「だれにも会ってないし、観光もしてないわ」と答えました。友人は不思議そうに「じゃあ、なんのために旅をしたの?」と聞きました。
すると彼女は嬉しそうに答えました。「本を読むためだけに旅に出たのよ」と。
旅の間、彼女はホテルの部屋からほとんど出ることはなく、誰にも気兼ねせず自分のペースで一人の時間を満喫したそうです。大好きな本を読みながら。スーツケースには着替えだけでなく、何冊もの本が入っていたのです。
本を読むならわざわざ旅に出なくてもできるじゃないかと思われるかもしれませんが、実際には、私たちの生活時間に「本を読む時間」はありそうで、ないものです。日常の中では、仕事や家事、育児、メールやラインの返事など、ちょっとした雑用に追われてしまいます。本を読むためのまとまった時間とは、まさしく非日常です。
「本を読むためだけの旅」って、本当は贅沢な大人の旅といえそうです。
自分の時間とは、自分自身の命そのもの。読書は自分と向き合う時間でもあります。本を読むための旅は、きっと自分の心をニュートラルにし、心も体もエネルギーを充電する時間になるでしょう。コロナが終息した暁にはそんな旅をしてみたいものです。