F&Aレポート

アップアップ読解力7「大人の朗読」の効果

アップアップ読解力7「大人の朗読」の効果

 「朗読」と聞くと、何をイメージしますか?

 小学校の頃の国語の授業や宿題。または、読み聞かせの時間に読んでもらった物語などでしょうか。いずれにしても「朗読」=「子どものためのもの」というイメージが強いかもしれません。しかし、私の話し方教室では今、「朗読」が密かなブームです。

 実際にやってみるとよくわかるのですが、小学校の頃に読んだ(読まされた)朗読とはまったく別物です。読み方も、声の出し方も、息遣いも、もちろん読む題材も違います。

 「大人の朗読」は脳と体を駆使します。そのため、かなり集中します。その結果、さまざまな効果があるのです。その中に「読解力を高める」こともひとつの効果として認められています。

 「大人の朗読」は物語や小説に限りません。松下幸之助の名言や天声人語、ドラッカーやカーネギーといったビジネス書や啓発本でもOKです。もちろん「蜘蛛の糸」「我輩は猫である」などの、日本を代表する文学作品も声に出して読むことで一層味わい深くなります。総合的にコミュニケーション力アップにもつながります。

朗読効果その1 ハリ・ツヤのある声になる

 胸式呼吸でのどから声を出していると、息が続かないだけでなく声量も少なくなります。そのため抑揚のない読み方になり、棒読み口調になります。どこが重要なポイントなのか、作者は何を言いたいのかが伝わりません。腹式呼吸で声を出すようにすると、一息で長い文章を読めるようになり、声量のコントロールができるようになります。声もハリ・ツヤがあって若々しい声になります。のどを傷めることもありません。

朗読効果その2 語彙が増える

 ネットやSNSの文章は、誰でもすぐに投稿できることがメリットですが、その分あまり精査されていないものも目立ちます。逆に、名作と言われる作品や新聞記事、書物などはある程度時間をかけて多くの人のチェックが入っているため、余計な部分が削られ洗練された語彙や文章になっています。そういったものを、目で読むだけでなく声に出して読むことで、視覚と聴覚に作用し、よく知らなかった言葉や表現などが脳にインプットされ記憶に残りやすくなります。すなわち、「使える語彙」が増えていくわけです。

朗読効果その3 読解力・文章力・論理力が高まる

 朗読をする際には強調すべき言葉を考えます。そのため、文脈や全体の流れを理解できるようになります。キャスターがニュース原稿を読むときと同様、全体の構成や内容を理解していないとスムーズに読めないからです。言葉の意味や表現方法などを理解するだけでなく、大まかな流れを汲み取ることで読解力の向上にもなります。結果として、文章を書く力や、論理的に伝える力も高まります。

朗読効果その4 滑舌がよくなる

 黙読する際には難なく読めたつもりでも、実際に声に出すと読みづらい箇所や、発音が難しい言葉があることに気づきます。また、感情の表現をする際には、表情を工夫することで声色が変わり、伝わりやすくなります。ただ「文字を読めばいい」というのでは、朗読ではなく「音読」になってしまいます。「朗読」は表情筋を動かし、口をはっきり開けて読むため、自然に滑舌もよくなるということです。

 朗読の効果はこのほか、姿勢がよくなる、血行がよくなる、集中力が増す、コミュニケーション力向上、老化防止など多くのメリットがあります。いざ「大人の朗読」!

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