F&Aレポート

「困っている方がおります」

「困っている方がおります」

 先日、政治家の答弁を聞いていて、気になってしまいました。

「被災されて、今も困っている方がたくさんおります」「心配されている方がおります」と、1回だけなら聞き逃すこともできるのですが、連呼されると耳に残ります。

 悪気がないのは十分わかっています。「こんな瑣末なことであげ足をとる」と、言われるかもしれませんが、正しくは

 「被災されて、今も困っている方がたくさん『いらっしゃいます』」
 「被災されて、今も困っている方がたくさん『おられます』」

ことほど左様に

 「心配されている方が『いらっしゃいます』」
 「心配されている方が『おられます』」
と、なります。

「おる」は、「いる(居る)」の謙譲語です。「私がおります」「うちの父が自宅におります」のようにつかい、意味は主語である「私」「うちの父」を下げて、相手を高めているというへりくだる構図になります。

 前文の「被災されて、今も困っている方がたくさんおります」になると、今も困っている人を下げてしまう意味になるのです。また、「おられる」は、尊敬語ですが方言でもあります。日本の西側に多い方言です。

 会話を妨げるほどの間違いではないのですが、気になりました。悪しからず…