F&Aレポート

食べる投資~不健康食が人生のコストパフォーマンスを下げる

食べる投資~不健康食が人生のコストパフォーマンスを下げる

 ストレスに負けない精神力/常に冴え渡っている思考力/不調、痛み、病気と無縁の健康な体。そのすべての基盤は栄養です。しかし、現代社会で最適な栄養状態を保つことは知識なしでは難しいのが現状です。

 本当に正しい栄養学の知識こそが、本当にあなたの心身を生涯守り、「幸福」という最大のリターンをもたらす最高の投資になるはずです。
「食べる投資」ハーバードが教える世界の食事術 満尾正著 アチーブメント出版

 新型コロナウイルスの感染が世界規模で拡大し、世界の常識が変わろうとしています。経済産業省は「健康経営 優良法人認定制度」という取組を推進してきましたが、ここへ来てあらためて「健康」が見直されるようになりました。「健康」を個人の問題として片付けるのではなく、健全な企業経営の問題として社会、企業、地域で取り組むことがトレンドになりつつあります。今回は「食べる投資」をご紹介します。著者である満尾正氏は、アメリカの最先端のアンチエイジング(抗加齢)医学を学び、2002年に日本で初めての「アンチエイジング専門クリニック」を東京 赤坂で開業しています。

日本のビジネスパーソンは「栄養」という投資が足りない

 なんだかいつも疲れている。現代ビジネスパーソンに対する印象を一言で表すと、このような感じでしょうか。一方で「エグゼクティブ層」と呼ばれる経営者や管理職の方の中には、エネルギーにあふれ、次々とタスクを処理し、豊かな発想力を持って業務を推進していく方が少なくありません。

 常に疲れと戦う人と、気力に満ちて人生を謳歌している人と一体何が違うのか。答えは明瞭。食事に対する姿勢がまったく違います。

 体調を崩しやすい、気力がわかない、朝から胃腸の調子が悪い。集中力にかけるなど、これらに該当する人は一度、自分の栄養状態を正確に把握する必要があります。

「現代型栄養失調」

 「忙しくても食事だけは欠かさずとっているのですが」という方が多いのですが、現代社会の利便性に乗じて、コンビニやスーパーで手軽に手に入る上、袋を開けるだけで食べられて満足感を得られるような食品ばかりを食べ続けると、体にとって本当に必要な栄養素が不足して、不必要なものは過剰になる「現代型栄養失調」状態に陥ります。

 出来合いの食品や加工食品には添加物が多く含まれる反面、ビタミンやミネラルは極めて微量しか含まれていません。発酵食品を食べる習慣がなければ腸内環境を維持することが難しくなります。さらに。ご飯、パン、甘いものなど糖質のとり過ぎが拍車をかけます。

 糖質を含む食品には、食物繊維の含有率などによって血糖値の上がり方に差があり、その指標を「GI値」といいます。ブドウ糖のGI値は100、白飯は88、白いパンは90です。GI値が高い食品ほど急激に血糖値をあげます。そのため、体はインスリンを大量に分泌し、今度は血糖値を急激に下げようと働きます。結果、血糖値が乱高下して、だるさや眠気、イライラを引き起こしてしまうのです。血糖値の急高下や腸内環境の悪化、ミネラル不足はメンタルにも悪影響を与えます。

今日から口にするものは全て「自分への投資」

 今日から口にするものは全て「自分への投資」と捉え、意志を持って選ぶことをお勧めします。加工食品やインスタント食品、砂糖たっぷりの糖質過剰な食品が世にあふれている現代社会において、なんの考えもなく漫然と目の前のものを食べているだけでは、健康は守れないと考えてください。

 どうしても忙しくて加工食品を食べざるを得ないなら、商品の裏側の成分表示を見て、なるべく添加物の少ないものを選ぶ。朝食を抜いてしまったら、昼は品数の多い和定食にする。週末は野菜たっぷりのスープで胃腸を休ませるなど。

 国内における健康診断は、病気を見つけ出すもので、健康維持のためのものではないことがほとんどです。ビタミン、ミネラルをはじめとした栄養素に過不足が見られたとしても、それが病気にならない範囲であれば問題視されることはありません。

 「病気にならないこと」を求めるのなら、それでも構わないかもしれませんが、ハイパフォーマンスの実現なら国の指針や、栄養学に精通していない医師の判断に任せきりでは、それは得られないと思って間違いないでしょう。(次回につづく)