F&Aレポート

わくわく日本語講座3 ~第三者が存在する敬語

わくわく日本語講座3 ~第三者が存在する敬語

 次のようなシーンでは、どんな風に表現しますか?

1、お世話になった方のご自宅に訪問。お子さんに買ってきたお土産を渡します。
(1)「お子さんに差し上げてください」
(2)「お子さんにお渡しください」
(3)「お子さんにやってください」

2、先輩を訪問したが留守。代理の人に伝言をしました。
(1)「よろしく伝えてください」
(2)「よろしく言ってください」
(3)「よろしくお伝えください」

<回答>1(2)  2(3)
 敬語は、自分(A)と目の前の相手(B)の関係だけでも敬語は難しいのに、第三者(C)が絡むと一層難しくなります。

 1の場合、今お土産を渡しているのは、目上でありお世話になっているBです。そのため、つい「差し上げる」と、へりくだった言い方をしてしまいます。

 しかし、これはBにBの子どものCに渡してほしいと頼んでいるのです。Bの行動を言っているわけです。したがって、「差し上げる」などと、A自身の行動を卑下していう謙譲語を使うのはおかしいということになります。

 では、(3)の「やってください」はどうでしょう。理屈ではBが目下(我が子)のCに「やる」ので正しいとはいえます。しかし、Aにとっては目上のBの子どもも敬語を使う対象に入るので、これではBに対して失礼な言い方をしたことになってしまいます。

 2の場合は、A、B、Cそれぞれが親しい友人の場合をのぞいて、(3)の「よろしくお伝えください」を使った方が無難です。B、Cが目下のときに(1)や(2)のような言い方をする人がする人もいますが。これでは「横柄な人」というイメージを与えてしまう恐れがあります。

3、「来る」という言葉は、状況や相手によって次のように言い方が変わります。
(1)来る   (2)来られる     (3)おいでになる
(4)参る   (5)いらっしゃる   (6)お見えになる

 次の場合、どれを用いるのが適切でしょうか。いいと思うものを選びましょう。(複数回答可)

(A)OB会に遅れた一つ年上の先輩が「もう同期の○○は来てる?」と電話してきたとき
(B)相手方から「○○が伺ってますか?」と、電話で尋ねられたとき
(C)目上の人に、こちらに来るかどうかを尋ねるとき

<回答>(A)=(2)  (B)=(3)(5)(6)  (C)=(2)(3)(5)(6)

(A)の場合、年齢のかけ離れた大先輩なら、(3)(5)(6)でもいいのですが、一つ年上というような近しい先輩には過剰敬語になることも。「来られています」か「出席されています」でいいです。

(B)「おいでになっています(おいでになっていません)」「いらっしゃっています(いらっしゃっていません)」「お見えになっています(お見えになっていません)」が適当。

(C)目上の人が親しい間柄である場合には「来られますか」。そうでなければ「おいでになりますか」「いらっしゃいますか」「お見えになりますか」になります。

 尊敬語には、「れる、られる」(例:来られる)→「お○○になる」「ご○○になる」(例:おいでになる)→「特別な言葉に変化」(例:いらっしゃる)というパターンがありますが、「れる、られる」が最もカジュアルな尊敬語です。状況に応じて使い分けましょう。

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