F&Aレポート

アップアップ読解力3「言いかえ力」~具体と抽象~

アップアップ読解力3「言いかえ力」~具体と抽象~

 前回につづき「具体」と「抽象」について考えてみましょう。わかりやすい文章は「具体」と「抽象」が行き来しながら、読み手(聞き手)の理解を深めます。この技法は特に、説明や説得の際に役に立ちます。まずは練習問題にトライしてみましょう。(参考文献「頭がいい」の正体は読解力 樋口裕一著 幻冬舎新書)

<練習問題1>
(   )内に、それ以前の部分をまとめるような言葉を入れてください。

1、うちの妻は掃除を丁寧にして、料理が好きで、庭いじりを趣味にしているが、
人と会って話をしたり、家庭の外で活動したりするのは好きではない。
つまり、うちの妻は(      )だ。

2、先日訪れたN国の首都では、ホテルの周辺の一等地でも雨が降ると
どぶから水があふれだしてぬかるみになった。信号がほとんどないので、
ぬかるみの中を車が渋滞していた。空港じゃら10キロもないのに、
ホテルまで1時間以上かかった。つまりN国は(      )。

3、私がよく行くレストランは3階にあるが、エレベーターで入れるように
なっており、段差がなく、入口が広く取ってあり、テーブルとテーブルの間も広い。
車椅子の客が食事中だった。つまり、このレストランは(      )。

<解答例>
1、家庭的/内向き/昔気質の女性/古風な女性
2、途上国だ/経済的に遅れている/インフラが整備されていない/貧しい国だ
3、バリアフリーだ/障害者への配慮が行き届いている/優良店だ

<解説>
 文章を書くとき、読むときは、具体化とともに抽象化も大事な作業だ。文中に抽象化する表現が現れる場合もある。ないこともある。ないときには、それを読み手が頭の中で補いながら読み進めなければならない。いずれにしても、抽象化は文章の大事な要素だ。

 そして、抽象化するとき語彙力がものをいう。そこでうまくまとめることによって、的確に抽象化することができる。語彙力がないと、まとめがうまく伝わらなくなってしまう。

 今回は、文章で示された内容を一言で抽象的にまとめる練習である。様々な抽象化の仕方があるだろう。文章に示される内容じゃら導き出されることであれば、どのような抽象化でもよい。

 どの部分に焦点を当てるか、どのくらいの範囲のことがらをまとめるかによって答えが変わってくる。それを含めて、いくつもの答えがあることを考えると、いっそう語彙力がつく。

 
<練習問題2>
 次の文を、漢字熟語などを加えて簡潔な文にあらためてください。
・昔からずっと続いている会社のやり方が私には良いとは思えないので、
課長にはっきりとそのようなことはしたくないと言った。

<解答例>
従来の会社の方針に納得できないので、課長にその件は遂行しないと言明した/旧態依然とした会社の方針が不合理に思えるので、課長にそれについては断りを申し出た/従来の会社のやり方に不賛成なので、課長に拒否の意を伝えた/など

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