F&Aレポート

挨拶を返してくれない人へ、挨拶をする?

挨拶を返してくれない人へ、挨拶をする?

 先日息子が「挨拶をしても、相手が挨拶を返してくれないから、最近はあまり挨拶をしなくなった。みんなが当たり前のように挨拶をしていた高校時代が懐かしいなぁ」と、ボヤいていました。

 たしかに、こちらがせっかく挨拶をしても、相手の反応がないと虚しくなります。「どうせ無視されるのなら、挨拶をするのはやめよう」という気持ちになるのも当然のことかもしれません。

 また、最近ある市役所で全職員を対象に接遇講座がありました。そこで強調されたのはやはり「挨拶」です。「来庁者には職員から挨拶をしましょう。職員同士でも挨拶をして明るい親切な市庁舎にしましょう」と。でも、私がここの市庁舎を訪問した時、誰も挨拶をしてくれませんでした。廊下ですれ違っても、目があっても。おそらくここも、「誰も挨拶しないから挨拶をしない」という悪しき習慣が蔓延してしまったのでしょう。

 そもそも「挨」「拶」の漢字は、心を開いて相手に迫るという意味。「挨拶」はコミュニケーションの始まりです。挨拶をすることでお互いの存在を認めることになり、安心・信頼や協働につなげることができます。

 そこで冒頭の「相手が挨拶をしてくれない」ときの対応ですが、挨拶が返ってこないときは「徳を積んだ」と思うのはいかがでしょうか。「徳」は、誰にも感謝されなくても、褒められなくてもその行いをやり続けることです。

 たとえ、挨拶をした相手が挨拶を返してくれなくても、誰かが必ず見ています。誰もいない場所であったとしても、自分自身がちゃんと見ています。自分に恥じない行動ができたと思ってもいいでしょう。相手の行動を期待して挨拶をするのではなく、自分の行いとして挨拶ができたのです。「徳」はいつか必ず違う形で、大きくなって返ってきます。