現金の受け渡しをする機会は、昔と比べてかなり少なくなってきています。スーパーやコンビニでの精算はカードやスマホ決済も多く、財布から現金を取り出す方が珍しくなっているのかもしれません。
特に混み合う時間帯でのレジ精算で、小銭をチマチマと探して時間をかけていると、後ろの方から冷たい視線が注がれているのを感じます。
とはいえ、現金の受け渡しがなくなるわけではないでしょう。結婚式などのお祝いや、新年のお年玉、習い事の月謝や会費など、現金を手渡しする機会は今後もしばらくは存在すると思われます。
当たり前のことかもしれませんが、現金をむき出しで渡すことは避けたいもの。現金に限らず「包んで渡す」という行為は、日本ならではの文化や風習で、相手への敬意や丁寧さを表します。
プレゼントを贈るときにラッピングをするように、お金も同様です。のし袋や封筒に入れて渡しましょう。お金をそのまま渡すのは失礼なこととされています。また、新札を準備し、向きを揃えて入れることも心得ておきたいものです。
お金は肖像のある方が表側とされています。ご祝儀なら表側を上に、不祝儀なら裏側を上に向けて包みます。のし袋や封筒がないときは、懐紙などに包んでも良いでしょう。
さてそのお金、1958年(昭和33年)12月1日、日本最高額紙幣となる一万円札が初めて発行されました。初発行の一万円札の肖像は聖徳太子。当時発行されていた日本紙幣は千円札(昭和25年発行)、五千円札(昭和32年発行)ですが、肖像はすべて聖徳太子でした。ちなみに、当時の大卒初任給は平均1万2000円前後で手渡しが主流だそうです。
これも「給料袋」という袋に包んで大切に手渡しされたのでしょう。