F&Aレポート

誤用の多い「どこか似てる」慣用表現

誤用の多い「どこか似てる」慣用表現

 コロナが5類感染症に移行して、どこに行っても人の流れが活発になりました。人に接する機会も増えました。マスクを外して自由に会話ができるのも嬉しい限り!ですが、間違った慣用表現に出会うことが重なり、気になっています。自分自身でも恥ずかしながらなぜ間違いなのか説明できない理解不十分な言葉もあることに気づく今日この頃です。

1、×「愛想をふりまく」→ ○「愛嬌をふりまく」
愛嬌は好感をもたれる言葉や表情。愛想は対応。対応はふりまけないので、「愛想が良い、悪い」と表現したい。愛嬌は「愛嬌がある、ない」。

2、×「食指を伸ばす」→ ○「触手を伸ばす」
食指は「動く」もの。食指が動くとは、食欲がわく、強い関心をもつこと。「触手を伸ばす」は、欲しいものを得ようとして働きかけること。

3、×「体調を壊す」→ ○「体調を崩す」
調子は壊せない。「体を壊す」なら○。ついでに「熱にうなされる」も間違いで、「夢にうなされる」か、「熱に浮かされる」が正解。

4、「肩肘を張る」「片意地を張る」
「肩肘を張る」は威張る、偉ぶること。肘を左右に突き出した姿をイメージ。
「片意地を張る」は頑固に自分の考えを曲げないこと。強情。

5、「なおざり」「おざなり」
「なおざり」は、おろそかにすること。放っておくの意味。「等閑」と書く。
「おざなり」は「お座なり」と書き、その場しのぎのいい加減な対応。
なんの対応もないのは「なおざり」、いい加減でも何かしら対応があるときは「おざなり」。

6、「つましい」「つつましい」
質素な暮らしは「つましい」。「倹しい」と書く。「つつましい」は「慎ましい」と書き、遠慮深い、控えめの意味になる。