目上の人への「なるほど」
日本語としては間違いないのですが、使い方次第で問題が出てくる言葉もあります。「なるほど」はその一例です。話をしているときに相手が「なるほど」を繰り返してくれると、「自分の話を納得してくれているのだ」と安心できるのですが、「なるほど」は、使い方は難しい言葉です。
「なるほど」は同感の意を表すものですが、場合によっては、相手の発言を軽く扱っているようにも聞こえる言葉なのです。安易にあいづちとして使ってしまうと、人によっては「失礼だ」と感じる人もいます。目上の人に対しては控えた方が無難な言葉といえます。
「なるほど」に代わる言葉としては、「さようでございますか」「そうですね」「おっしゃる通りです」などが挙げられます。
また、「なるほどですね」は、「なるほど」+「そうなんですね」を縮めたものなので、言葉として誤りがあります。目上の人だけでなく、全般的に使わない方がいい言葉といえます。そのほか、注意したい日常語は下記の通りです。
△「お愛想、お願いします」
飲食店で会計をするときに「お愛想、お願いします」という声をよく耳にします。辞書には「お愛想=料理屋などの勘定」とありますが、もともと「お愛想」は「心づけ」的な意味を持っています。店側が、「お愛想」といえば「これだけ頂けますか」という謙虚な意が含まれますますが、客側が「お愛想」といえば、「心づけ程度の値段にしてくれ」という値切りの意味を持ってしまうのです。
△ 「頑張ってください」
善意で応援したつもりが逆効果ということも。「頑張ってください」は労う言葉です。そもそも「労う」のは、目上が目下にする行為。目上の方への応援は「ご健闘ください」「ご健闘を祈っています」と伝えましょう。