「笑い」が健康と強運を引き寄せる 1 ~「ハハハ!」と声を上げて笑ったのはいつですか?
「口角を上げると、神経が脳の前頭葉を刺激してやる気スイッチが入る」。脳科学者 茂木健一郎氏は著書でそう説いています。即ち「良いことがあったから笑うのではなくて、笑っているから良いことがあるのだ」と。まさしく「笑う門には福来たる」です。
このほど全英女子オープンで優勝を果たし、一躍時の人になった渋野日向子氏も、実力もさることながら笑顔で強運を引き寄せ、スマイル・シンデレラとして世界の注目を浴びています。とはいえ、ある研究機関によると、1週間に1回も笑っていない男性は2割もいるのだそうです。笑い不足は糖尿病、高血圧のリスクを高め、認知機能を低下させるという研究結果もあります。あなたは最近、「ハハハ」と声を上げて笑いましたか?
心身の健康と、幸運を引き寄せる、そして脳トレにも効く「笑い」を2回にわたって特集します。(参考資料:日経おとなのOFF)
1、「笑い」の定義は「ハハハ」と声に出す笑い
健康効果が明らかになった笑いは「ハハハ」と周期性のある声を出し、歯が見える笑い顔になることです。面白いと思って、ニンマリするのとはちがいます。
声に出して笑うという行為は、腹筋や呼吸筋などの筋肉を使い、酸素を消費する有酸素運動です。その効果に加え、笑いには、脳内リセットによるストレス解消効果があります。
声を出して笑うと、腹筋などさまざまな筋肉を使い、呼吸が活発になって酸素の消費量が増えます。15分笑うと、約20?40kcalを消費し、10分間のウォーキングに相当します。
笑うときは腹式呼吸になり、副交感神経が優位になってリラクゼーションを導きます。また、大笑いをすると、頭の中が一瞬、空っぽになり、ストレスを生む悪循環の思考が一旦遮断されます。これが脳内リセット効果になるのです。
2、免疫力アップ 作り笑いでもOK
大笑いをすることで、がんを攻撃するNK細胞が活性化します。健康な人でも、毎日がん細胞は発生しています。それを攻撃し、破壊して、がん発症を食い止めているのが、NK(ナチュラルキラー)細胞です。大笑いすることで、NK細胞の働きが活性化し、免疫機能を正常化させることが実証されています。笑うことが、がんを予防するとまではいえないものの、笑うことによって、がんへの抵抗力が高まり痛みも減るという症例や、生活の質が向上したという症例が数多く報告されています。
3、笑う頻度が低い人ほど認知機能が下がり、うつ症状は上がる
65歳以上の男女985人を対象にして、笑いの頻度と、物忘れなど認知機能低下症状との関連を調査したところ、笑う頻度が低い人ほど「認知機能の低下症状あり」が増え、「笑いがほぼ毎日」の人に比べ、「ほとんどなし」の人は2.15倍多いそうです。
また、笑う頻度が低い人ほどストレスを感じることが多く、怒りを内にためる程度が強く、うつ症状を多く持っていることが調査でわかっています。笑いはストレスホルモンの代表であるコルチゾール値を下げる効果があることも実験から明らかになっています。
大阪府内の企業従業員男女1600人を対象に「笑う頻度」と、夜眠れないなどの「うつ症状」との関連を調査したところ、男女とも笑う頻度が低い人ほど、うつ症状を多く持つという結果が出ています。
4、笑いの脳トレ だじゃれ
情報を一時的にメモし、何らかの作業を行うのが脳のワーキングメモリです。目の前の出来事の「何が面白いか」を考えるとき、ワーキングメモリが働きます。
掛け言葉の最初の言葉を脳にメモし、次に出てきた言葉と一致することがわかって、面白いと感じる。だじゃれの理解は脳にとって共通要素を探す課題を解くのと同じです。
ただし、パターン化されただじゃれ。いわゆる「おやじギャグ」は、音と音が一致したら言わずにいられなくなって反射的に出てくるものです。算数の「九九」に似た自動的な作業なので、ワーキングメモリの活動量は小さくなります。