F&Aレポート

「労働観」欧米と日本。その違い

「労働観」欧米と日本。その違い

 欧米で、「あなたは何のために働いているのですか?」と尋ねると、ほぼ100%の人が、「バカンスを楽しむため」と答えるのだそうです。

 キリスト教では、アダムとイブが神様との約束を破ったために、二人は楽園を追放され、男性には労働の苦しみを、女性には出産の苦しみを課したのだ。と、聞いたことがあります。西洋では「働くこと」=「苦行」という考え方が一般的なのかもしれません。

 一方で、日本人の労働観はどうなのでしょう。

 「古事記」や「日本書記」では、日本では神様たちが自ら働いています。それも、神様にしかできないような特殊技能ではなく、当時の日本人がやっていた農耕や機織りといった普通の仕事をしているのです。

 「万葉集」などの和歌集にも、天皇自らが労働を愛でる歌が多く収められています。

 さらに、「源氏物語」の光源氏も労働を称えています。都から須磨に流されて、初めて田舎暮らしに触れた光源氏。農業や漁業に携わる人々の暮らしぶりをみて悟るのです。

 「この世には、自然に仕える仕事と、人に仕える仕事がある。その違いだけで職業に貴賎(きせん)はない」と。「人生に悩んだら『日本史』に聞こう」(白駒妃登美著)では、「日本人にとって、古来、労働とは『神事』であり、感謝と喜びを表すものだった」と、説かれています。

 英語の「ビジネス(仕事)」の語源は「ビジー(忙しい)」、フランス語の「トラバーユ(働く)」の語源は、ラテン語の「トリパーリアーレ」(拷問する)。日本語の「はたらく」は「はた(傍)をらく(楽)にする」することと言われています。

 働くことは世の中の役に立つこと。感謝される価値のあることと見直したときに、「苦行」とは違った「喜び」も生まれ、それがモチベーションにもつながるように感じるのですが、いかがでしょうか。あなたは何のために働きますか?