夏休み子ども科学電話相談2「AI は人に恋するのか?」
前回につづきNHKラジオ「夏休み子ども科学電話相談」の「書き起こし」からご紹介します。2004年に公開された映画「アイ,ロボット」では、近未来はロボットとの共存が当たり前になっていました。この映画は2035年のシカゴが舞台となっていますが、映画が現実になるかどうかわかりませんが、あと10年~20年のうちに同僚も上司もAI、それだけでなく奥さん(ご主人)もAIなんてこともあり得るのかも(?)
AIが中心の社会になれば「感情のある人間なんて、最も信頼できない!」と、隣のデスクのAIたちが叫んでいるかもしれません。怖いような楽しいような夢物語ですが、夏休み子ども科学電話相談では、「AIは人に恋をするのか?」という質問がありました。
さあ、専門家のお答えは?(2018年8月3日放送)
<出演>
山田敦子アナウンサー/坂本真樹先生(電気通信大学教授)/小菅正夫先生(札幌市円山動物園参与)/篠原菊紀先生(公立諏訪東京理科大学教授)/清水聡司先生(大阪府営箕面公園昆虫館副館長)/ききさん小4岐阜県(質問者)
ききさん:AIが人に恋することはありますか?
山田アナ:AIが人に恋することがあるか、ききちゃんはどうしてこれを質問してみようかなとおもったの?
ききさん:AIが人に恋したらすてきだなと思ったからです。
山田アナ:そっか、すてきだなと思ったんだ。
ききさん:はい。
山田アナ:じゃあ坂本先生につなぎます。
坂本先生:ききちゃんがすてきだなって思っているとすると、先生の答えは、ちょっとがっかりさせてしまうかもしれないんですけども、AIが人を好きになる、恋することは難しいかなというふうにいわれています。
ききさん:はい。
坂本先生:そもそも恋をするってどういうことかききちゃんわかるかな?
ききさん:うーん、わからない。
坂本先生:難しいですよね。先生もよくわからないんですけど、結局人間が恋をするっていうことがどういうことなのかっていうのが分からないと、機械とかAIに実現させるっていうのが難しいんですね。
ききさん:はい。
坂本先生:たとえば、恋をしている人の顔の表情とか声とか体とか、ドキドキしたりとか。そういうことを学習させる、AIに覚えさせることで、それと同じような行動をするようになるっていうことはできると思います。
ききさん:はい。
坂本先生:それと同じようにAI同士が恋をするっていうことも難しいと思うんですけれども。ただAI同士が会話したり、じゃれあったりしてる様子を見て、人間がこのAI同士は恋をしているのかもしれないって思う事は大いにあるかも。なので、恋をしている、この人とこの人、きっと好き同士じゃないって、周りが見て思うというのと同じレベルはあるかもしれません。でも、人がAIに恋をするというのは簡単に起きてしまうと思います。自分が思うような答えを返してくれたり、動きをしてくれたりすると、人間の方がすぐにAIを好きになる、恋をするということはあると思います。
ききさん:はい。
山田アナ:ききちゃん、先生のお答え聞いてどう思いましたか?
ききさん:なんかちょっと残念だなって思った。
坂本先生:ごめんなさいね。
山田アナ:AIと人間っていうのは、人間の片思いってことはありうるんですね。
坂本先生:そうですね。人間の片思いで、でもだから好きになってくれるかなって思ってことはあるけど、本当に好きかどうか、人間としても分からないですよね。
ききさん:はい。
山田アナ:そう考えていくとなかなか深いですね。先生方みんな笑ってらっしゃいます。
小菅先生:いやいや今の話を聞いてぼく驚いていました。人間がAIに恋をする、想像の外ですよね、それって。
篠原先生:小菅先生が動物に恋したり、清水先生が昆虫大好きって言っていること、あるいは石好きの人にとっては石が恋の対象、比喩的にはそれと。脳の中でそれこそ腹側被蓋野(ふくそくひがいや)とか恋に関係するとところが活性化するような状態さえおきちゃえば、とりあえず。
清水先生:虫からは、こっちに来てくれないですよ。
小菅先生:だけど僕は、わりと動物に好かれるタイプなんですよ。ある動物園でゴリラの赤ちゃんが生まれたんで行ったけども、僕が近くまで行ったらゴリラが僕に赤ちゃん見せてくれたんです。オレなんかすげぇ動物に好かれてるなぁと思って。
篠原先生:そう思っている時点で恋が始まっている。
山田アナ:スタジオではいろいろ会話が進んでいますけれども、ききちゃんこれでいいですか?
ききさん:はい。
山田アナ:質問してくれてありがとう。
ききさん:ありがとうございます。