F&Aレポート

幸せを引き寄せる笑顔の法則

幸せを引き寄せる笑顔の法則

「幸せを引き寄せる笑顔の法則」(斎藤一郎著 誠文堂新光社)から、三越伊勢丹グループの従業員10万人を動かした笑顔の「理論と効能」についてご紹介します。

■表情は考え方にも影響する

 笑顔を作ると脳は幸福を感じますから、それまでネガティブな考え方をしていた人でも、ポジティブな考え方ができるようになると考えられています。

「表情が考え方に影響を与えるなんて信じられない」と思うかもしれませんが、実際にやってみたら、仏頂面で前向きなことを考えるのは難しいことがわかります。また、前向きなことをひたすら考えていると、いつの間にか微笑んでいることがあります。

■笑みを浮かべると脳は幸福だと認知する

 とはいえ、漠然と「幸福だ」と思うだけでは、人間の脳は認知しません。笑みを浮かべたときに、自分は幸福だと感じるようになるのです。これは「認知行動療法」に通じます。

 認知行動療法は、認知(考え方や受け取り方)に働きかけて気持ちを楽にする精神療法の一つで、うつ病などのケアに役立てられています。

 たとえば、上司に「もっと頑張れ」と言われたとします。そのとき「今の自分ではダメだから怒られてしまった」とネガティブに受け止める場合と、「今以上に成長することを期待された」とポジティブに受け止める場合もあります。

 こうした受け止め方、つまり「認知」が違えば、感情や行動も違ってきます。ネガティブに受け止めると落ち込んだりくよくよ悩んでしまい、前向きに行動できなくなるおそれがあります。一方、肯定的に受け止めると意欲が高まり、行動も積極的になるでしょう。

 つまり「受け止め方=認知」次第で、その後の気分や感情、行動をポジティブに変えることができるわけです。ということは、笑みを浮かべると脳は幸福だと認知し、気分や行動がポジティブになるのもうなずけます。

■良いことを思っていれば良い結果がもたらされる

 実は、幸福感には「思い込み」も重要であることが科学的に立証されています。その一つに、海外で清掃作業員を対象に行われた調査研究があります。

 この調査研究では、思い込ませることを目的に「掃除をすることは健康に良い」と伝えた上で掃除作業を継続してもらうグループと、「掃除をすることは健康に良くない」と伝えた上で掃除作業を継続してもらったグループにわけ、作業前後の健康診断の結果を見比べてみました。すると、体に良いと思って掃除をしたグループの人達の方が、健康診断の結果がよかったのです。

■「プラシーボ効果」思い込みの効果

 「プラシーボ効果」とは、実際には何の成分も入っていない薬でも薬だと信じて飲んでいると効果が現れてしまう現象のことです。思い込みも、この現象によく似ています。

 日本では「病は気から」と言い、気持ちの持ちよう次第で物事が良くなったり悪くなったりすることを、人々は日常生活のさまざまなシーンで体験していたのだと思います。

 思い込みによるプラス効果は、日常生活のあらゆることで使えます。たとえば、通勤時に駅の階段を昇る際に「健康にいいことをするんだ」と思って昇れば、健康効果が期待できると考えられます。「階段を昇らなければいけない」という気持ちで行動すると、面倒になって気分も滅入ってしまいます。

 朝起きて最初に鏡に向かうとき、「今日は、良い事がある」と口に出してみるのも一案です。そのときは笑顔です。笑顔でポジティブな言葉で一日をスタートさせる習慣を身につけていきましょう。笑顔を作ることで、心身ともに健康で思考回路も整理されます。

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