F&Aレポート

日本語トレーニング はなす・きく・よむ(10)日本語検定に挑戦 ~ことばの意味

日本語トレーニング はなす・きく・よむ(10)日本語検定に挑戦 ~ことばの意味

<1級>次のようなことを言うとき、( )に入る言葉として最も適切なものを選んで、それぞれ番号で答えてください。

1、ライバル企業がシェアの拡大をねらって、新興住宅地に( )を伸ばしてきたので、わが社も安閑としてはいられない。
[1]猿臂  [2]食指  [3]触手  [4]掉尾

2、竹馬の友と二十年ぶりに再会を果たし、久闊を( )た。
[1]叙し  [2]癒し  [3]献じ  [4]潤し

※解答、解説
1、[3]触手
シェアの拡大をねらって積極的に営業活動などを展開するという文脈であるから、[3]を入れて、欲しいものを手に入れようとして積極的に働きかけることをいう、「触手を伸ばす」とするのが適切。[2]「食指」は、多く「食指が動く」「食指を動かす」の形で用いられ、何かに関心や欲望を抱くことをいう。[1]「猿臂(えんぴ)」は、猿(のように)長いひじの意で、腕を長く伸ばすことを、「猿臂を伸ばす」という。[4]「掉尾(ちょうび/とうび)」は、物事の最後、また、その勢いの強さのことで、多く「掉尾を飾る」の形で用いられる。

 2、[1]叙し
 「久闊(きゅうかつ)」は、久しく便りをしていないこと。多く「久闊を叙する」の形で、久しぶりに
 会った旧知の人に無沙汰をわびる挨拶をすることをいうので、[1]「叙し(た)」が適切。[2]「癒し」、[3]「献じ」、[4]「潤し」は、「久闊」とは結び付かない。

<2級>【 】の言葉を最も適切に使っているのは[1]~[3]のどの文でしょうか。それぞれ番号で答えてください。

【腐心】
[1]彼は、バブル崩壊後の1994年に社長に就任して以来、経営の立て直しに腐心してきた。
[2]花火大会に出かけた弟は、あまりの人の多さに腐心したとこぼしていた。
[3]大学の卒業論文のテーマを何にするか、一晩中腐心して考えた。

【不文律】
[1]駅前の再開発計画はまだ不文律の段階で、専門家の意見を聞いて改善していく予定です
[2]週末は、家族そろって朝食と夕食を食べる。それが我が家の不文律だ。
[3]地球が太陽の周りを回っているというのは、現代人にとっては不文律だ。

※ 解答、解説
1、[1]
「腐心」は、困難な課題をなしとげるために、これでいいか、ほかにもっと良いやり方があるのではないかと、頭を悩ませ、解決策を模索してゆくこと。よって、[1]の使い方が適切。[2]は、「うんざりする」または「難儀する」の意で用いているようで不適切。[3]は、単に「悩む」「迷う」の意で用いているようで、やはり不適切。

2、[2]
「不文律」は、正式な文章の形では示されていないものの、その集団の一員であれば、守らなければならないと皆が心のうちで理解している決まりのこと。よって、[2]の使い方が適切。[1]は「素案」、[3]は「常識」などがふさわしい文。

<3級>次の会話は、大学生の鈴木君とその友人の酒井君とのやりとりです。ア~ウに当てはまる言葉を選んで、それぞれ番号で答えてください。
【鈴木】酒井君、ちょっといいかい。実は、短編小説を書いてみたんだ。とはいっても、( ア )だから、拙いところも多いと思うんだけど。よかったら、読んで感想を聞かせてもらえないかな。
【酒井】いいよ。じゃあ、家に帰って、( イ )読むことにするよ。
【鈴木】ありがとう。ぜひ( ウ )意見を聞かせてほしいな。

ア[1]下手の考え休むに似たり [2]好きこそ物の上手なれ [3]下手の横好き
イ[1]目を光らせて [2]腰を据えて [3]手をこまぬいて
ウ[1]歯が浮いた [2]歯に衣着せない [3]奥歯に物を挟んだ

※ 解答、解説
ア[3]下手の横好き
ここでは、小説を趣味で書いてはいるが、上手なわけではないと言おうとしているので、ある物事をするのが下手なくせに妙に好み、熱心に取り組むことをいう、[3]「下手の横好き」が適切。

イ[2]腰を据えて
ここでは、家に帰って落ち着いて小説を読みたいということを言おうとしているので、他の事に気をとられずに何かに専念する様子を表す、[2]「腰を据えて」が適切。

ウ[2]歯に衣着せない
ここでは、遠慮せずに批評してくれということを言おうとしているので、相手の感情や意図に構わず、自分の思ったことを率直に述べる様子を表す、[2]「歯に衣着せない」が適切。

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