日本語トレーニング はなす・きく・よむ(5)
1、「書く」にチャレンジ
次の漢字、正しいものを【 】から選びましょう
(1)「怒りをしずめる」 【A沈 B鎮】
(2)「暑さがやわらぐ」 【A柔 B和】
(3)「長所をはぐくむ」 【A養 B育】
(4)「技術的にはやさしい」 【A易 B優】
(5)「あらかじめ伝えておく」 【A前 B予】
(6)「体力をつちかいなさい」 【A養 B培】
(7)「彼は仕事がはやい」 【A速 B早】
回答 意味を知ると納得!
(1) B 怒りをおさえることなので「沈める」「静める」ではなく「鎮める」。
「鎮」は物をおさえる重い金属のこと。文鎮
(2) B「和」という字には「声を合わせる」という意味がある。そこから「心を合わせる」意味に使われ、「心がやわらぐ」「なごやかになる」という意味を持つようになった。「暑さがやわらぐ」のは「なごやかな気候になる」ことで、「和らぐ」である。
(3) B「育む」は「羽含む」からきている。親鳥が羽の下に抱いてひなを育てるさまをいったもので、それが転じて、育てることを「はぐくむ」というようになった。
(4) A 難易を言う場合は「易しい」と書く。
(5) B「予め」は、事前に準備しておき、その場でじたばたしないという意味がある。
(6) B「培う」は、土を積み重ねることが原義。植物を育てる→ものを養い育てるという意味に発展した。
(7) A スピードに関する場合は「速」、時間や時刻に関する場合は「早」をつかう。
2、次の漢字に間違いはないか?
(1)「恥ずかしさに顔色を失う」
(2)「ミスを犯してしまった」
(3)「両国の領土を犯す」
(4)「鑑賞に耐える作品だ」
(5)「人の顔色を伺うのはよしなさい」
(6)「ブラウスを身に就ける」
(7)「船を桟橋に着ける」
回答:(1)○(2)○(3)×(4)○(5)×(6)×(7)○
(1)「顔色」は、この場合は「かおいろ」ではなく「がんしょく」と読む。顔に表れた感情や気持ちのことで、「顔色を失う」は、恥や恐れ、驚きで顔が青くなること。「顔色なし」ともいう。
(2)間違いをおかす場合は「犯す」でいい。よく「犯罪を犯す」というが、犯罪は「罪を犯す」ことなので、これは重複ことばになってしまう。
(3)他国の領土に侵入するわけだから「侵す」である。
(4)「堪える」は、「値する」「値打ちがある」という意味。
(5)表情を「ひそかにのぞく」のだから、ここは「伺う」ではなく「窺う」である。
「顔色」は「がんしょく」と読むが、「かおいろを窺う」と慣用句になっているので、この場合は「かおいろ」と読んでいい。
(6)「就く」は職や役職につく場合。衣服は着るものなので「着ける」と書く。
(7)「付ける」でも間違いではないが、乗り物をつける場合には「着ける」と書くのが一般的である。