お客が店の雰囲気をつくる
「女友達と行く寿司の心得。」(マガジンハウス an・an)というテーマで大人のたしなみが説かれていました。エッセイスト平松洋子氏の一節をご紹介します。
これは寿司に限ったことではないのですが、お店では「自分たち自身も風景の一部である」という認識をもってふるまってほしいということです。たとえば、カウンターに座ると、お互いすべてを見通せるわけで、会話や居住まいなど、自分たちの醸し出している雰囲気がその日その時の店の空気を一緒につくっているという意識が大事なのだそうです。
その意識があれば、瞬間ごとのふるまい方もおのずと変わってくると。美味しく楽しむ為の心得はつぎの通り。
1.気持ちの良いお店には、気持ちの良い姿で。
お寿司屋さんに行くときの服装に決まり事があるわけではないけれど、清潔なお店の雰囲気に馴染むすっきりとした服装がいい。手元は袖がだぶつかないもの。香水も控えて。
2.3人より2人がいい。
女二人、カウンターにご主人と向き合って座るのは気持ちがいいものですが、3人となると話は別。横並びになったとき、真ん中の人を軸としたクローズな輪になってしまうため。声も大きくなりがちです。あまり良い風景とはいえません。
3.お酒はあくまで脇役。
美味しいお寿司に、いくらお酒がすすんでも、だらだらと長居するのは、傍から見て気持ちのいい振る舞いではありません。ゆっくり話がしたければ早めに切り上げて場所を変えたほうがスマート。お酒はあくまで脇役で…。
そのほか、「美味しいときは素直にリクエスト。おなかいっぱいも正直に申告。」「まずは、“今日のおすすめ”を訊く。」「清潔、誠実、小さなお店がおすすめ。」などのアドバイスもあります。大人らしいスマートなふるまいは、一言でいうなら、“余裕がある”ということでしょうか。多少敷居の高い店でも気後れすることなく楽しみたいですね。