F&Aレポート

あなたは日本語ペラペラですか 3 語感を磨こう

あなたは日本語ペラペラですか 3 語感を磨こう
(参考図書:語感トレーニング 中村明著)

Q1、たとえば「暑い」に対する「暑苦しい」のように、次の語について、それぞれマイナスイメージを含んだ表現に言い換えてみてください(マイナス評価の伝わる表現)
(1) 厚い (2)薄い (3)狭い (4)広い (5)長い

■「方法」や「手段」などと同様、「やり方」ということばは幅広く使えるが、「やり口」という語になると好ましくないイメージがある。「あのやり口が気に入らない」という言い方が自然で、「好感のもてる」とか「良心的な」とかといった形容のあとには使いにくい。
■ 「手口」となると、もっと明確に、よくない行為をさし、「功みな手口で金をだまし取る」「同じ手口の犯行を続ける」のように用いるのが自然だが、犯罪とは限らず、勝負事などで相手のやり方を憎々しげに「小賢しい手口」などと評することもある。
■このように、中立的な「やり方」と違い、「やり口」という語を使うと、それを好ましくないと思っている話し手の気持ちが相手に伝わり、「手口」にすると話し手のマイナス評価という雰囲気がさらに強まる。

[A1](1)厚ぼったい (2)薄っぺら(な) (3)せせこましい、狭苦しい (4)だだっ広い (5)長たらしい

Q2、レストランのメニューに(1)ピッツァ (2)ピザ とあったとき、どちらのほうが本格的だと感じますか?(自負の伝わる表現)

■「フランス料理」という通常のカタカナ表記では特別の語感は生じないが、漢字で「仏蘭西料理」と書くと、漢字の重々しい雰囲気で高級そうな感じになる。店の看板が「仏蘭西料理」となっていると、店の前で財布の中身を調べたくなるような高級感が漂う。
■「カレーライス」でも「カレー」でもなく、特に「カリー」という表記を打ち出した看板にも、どこにでもあるカレーとは違う本場の味を主張している雰囲気がある。
■東京にイタリア料理の「ピッツァ」の店が登場した昭和30年代中頃には、まだ「ピザ」という語はなく、「ピッツァ」という用語は単に珍しい食べ物をさす外来語であるという以外に特別な語感は働かなかった。が、その後、アメリカ型の宅配ピザがはやりだしてからは日本中で「ピザ」が一般的になった。そんな中であえて「ピッツァ」ということばを看板に掲げると、そんじょそこらのピザとは違うとする職人の自負を感じる。ことばは情報とともに、そういう自負やこだわりをも相手に送り届ける。

[A2]その語を知っている人は(1)

Q3、次の(1)?(4)に、ア?エの中からもっともふさわしい語を入れてください。
(強調の程度が伝わる表現)

「(1)」とは、他人からこうむった迷惑や被害をその相手に返すことをさし、会話でも文章でも使われるやや古風な漢語である。漢語だけに「(2)」よりは若干重く響くが、「(3)」ほど恨みがこもっておらず、「(4)」というほど大げさではない感じがある。

 ア 仕返し  イ 返報  ウ 報復  エ 復讐

■ 「どうぞよろしく」「どうぞお出かけください」などといった挨拶で、「どうぞ」を「どうか」
に差し替えると微妙にニュアンスが違ってくる。映画監督の小津安二郎は敬愛する作家の志賀直哉からもらった手紙の末尾に「どうか遊びに来てくれ給え」とあるのを読んで本当に嬉しかったらしい。「どうぞ」でなく「どうか」ということばを選んだところに、是非いらっしゃいという志賀さんの気持ちがこもっていると、ことのほか喜んだという。
■不祥事を詫びる社長のことばなどでも、「どうか」とした方が平身低頭している感じが強く伝わりそうだ。
■「酔う」は程度に幅があるが、「酔っ払う」となると、正常でなくなる段階まで酔いがまわった感じになる。同様に「たたく」の場合は、親の肩をたたくのも、後輩の肩を親しげにたたくのも含まれ、程度に幅があるが、「ひっぱたく」となると相手に強い打撃を与える場合に限られる。
■「仕返し」「返報」「報復」「復讐」と並べてみるt、この順にだんだん重くなるように感じられる。「仕返し」はいたずら程度でも使えそうで、「返報」は「報復」ほど大げさでなく、「報復」は重大な行為を連想させる。「復讐」となると、さらに根強い恨みのこもった雰囲気が感じられる。

[A3](1)イ (2)ア (3)エ (4)ウ

Q4、謝罪の程度が深いものから順に並べてください。(程度の異なる表現)
(1) 過日の件、あらためて深くお詫びいたします。
(2) この間はすみませんでした。
(3) 先日はご迷惑をかけてどうも失礼しました。
(4) 先だっての件、まことに申し訳ありません。

[A4](1)→(4)→(3)→(2)