接客マナー「いらっしゃいませ」からのファースト・アプローチ
お店に入って「いらっしゃいませ」と言われると、迎え撃ちにあったようで居づらくなるという人。逆に、「“いらっしゃいませ”の声もかからなかった」と不満に思う人。接客という仕事は一期一会。その時々、その人の感情や状況を見極めて、応じなければならない難しい仕事です。
「ファースト・アプローチ」とは「最初の声かけ」。このファースト・アプローチの引き出しをたくさん持っている人は接客上手と言えます。ただし、ファースト・アプローチは、即「販売」のためではなく、まず、お客様と距離を縮めるためのものです。
たとえば、「いらっしゃいませ」とお声がけしても、お客様は特に反応もなく、目も合わせないといったことがあります。この場合、お客様は「あまり声をかけて欲しくない。一人でゆっくり見たい」というサインであることが多いようです。
また、お客様が商品を手に取るやいなや「その商品は○○産です」「そちらは、ただいま売れ筋で…」と、立て続けに商品説明をするのも嫌がられます。
最初のお声がけで反応を見て、次の言葉をかけるタイミングや距離感をはかるのです。
お客様の様子を観察しながら「その商品は人気があって、なかなか入荷しなかったんですが、今朝入ってきたばかりなんです」「この商品の名前を知ってるだけでも価値がありますよ」などと、「情報」を付加したファースト・アプローチができると、接客から購買までの流れをつくりやすくすることができます。
いずれにしても、ネット販売ではないリアル店舗の場合、販売員の「声かけ」の善し悪しが売上を左右します。どんなファースト・アプローチが有効なのか、研究を重ね、情報交換をして、接客術を磨いていくこともマナーの一部ではないでしょうか。