「お客様、そのお言葉は“ご意見”ですか?“要求”ですか?」 クレーム対応の「超」基本エッセンス 鉄壁の5ヶ条
■ クレーム対応の基本エッセンスは、たったの5つ。いたずらに「応酬話法」を覚えたり、ノウハウを伝授する講師や著書の「神業」を真似ることではないらしい。各自の経験とスキルの中に散らばるピースをロジカルかつ体系的に整理し、基本エッセンスを「使える形」にすることだそうです。
■ 企業が直面する多種多様なクレーム、不当要求などの事案への対応を直接、間接的に支援する株式会社エス・ピー・ネットワークから、不当要求対応のエキスパートの思考回路を分析・整理・体系化した「クレーム対応の”超”基本エッセンス」が出版されました。
■ これはただのマニュアル、ノウハウ本ではなく、昨今の顧客対応難化の背景から、クレームと不当要求の違い、詫び状などの書面を要求された場合の対応、電メールやインターネット上での顧客対応に関する留意点など、事細かくどんな事例でも対応できる基本と応用が示された一冊になっています。今回は基本エッセンスの5か条と電子メール・インターネット上のリスクの冒頭部分のみご紹介します。(「クレーム対応の”超”基本エッセンス」株式会社エス・ピー・ネットワーク)
1.危機管理的顧客対応指針5ヶ条
第一条
初期対応は慎重かつ冷静に対処せよ。[初期対応の重要性]
顧客対応においては、初期対応が勝負を決する。
初期対応は極めて重要な局面であり、慎重かつ冷静に対処せよ。
第二条
「クレーム」と「不当要求」は似て非なるもの。対応時は考え方を切り替えよ。
[クレーム、不当要求の2分類]
お客様の声は、企業の経営上プラスに活用すべき「クレーム」と、ロスを生む「不当要求」の2つに分類できる。両者の対応の考え方はまったく異なる。
第三条
初期対応では3つの基本を徹底せよ。[初期対応における3つの基本]
初期対応時にすべきことはたったの3つ。迷ったときは3つの基本に立ち返れ。
その1.話を聞くに徹する…簡単なようで難しい
その2.事実関係の確認・明確化…事実確認なくして、回答なし
その3.対応時の内容の記録・共有…対応時は「現在進行形」の記録が重要
第四条
お客様の「話」は4つの要素の使い分けを意識せよ。
[お客様のは「話」の4つの要素]
お客様の「話」は次の4つの要素から成り立つ。その使い分けを意識することで、対応方針は自ずと定まる。
1.事実
2.不満
3.意見
4.要求
第五条
お客様の要求に応じるか否かは、5つの基準で判断せよ。
[要求判断に関する5つの基準]
お客様から具体的な要求が出た場合には、次の5つの基準に照らして判断せよ。
1.責任の有無
2.損害(不利益)との因果関係
3.要求行為の正当性
4.要求内容の対価性
5.要求内容と原因の関連性
2.電子メールやインターネット上での顧客対応リスク
なぜ、電子メールやインターネット上の顧客対応、コミュニケーションの場面で様々なトラブルが発生するのでしょうか。もちろん、対面や電話でのコミュニケーションにおいても、言い違いやちょっとした言葉の言い回しから相手を怒らせてしまうことはありますが、顔の見えない電子メールやインターネット上でのコミュニケーションには、特有の要因、リスクがあります。
(1)文字・活字が証跡として残る
(2)インターネット上への情報の蓄積によるレピュテーション・リスク(好ましくない風評)
(3)文字コミュニケーションによる誤解、伝達ミス等のリスク
(4)文字コミュニケーションにおける感情面把握の難しさ
★顧客の情報発信力・自己主張を踏まえた対応の重要性
ユーザーの情報発信力が増し、自己主張が強まる。あおりや糾弾目的の者も存在している。
下手に対応すると炎上のリスクがある
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・活字で議論や論戦を挑むとエスカレートしてしまう
・ 細部にかかわらず低姿勢での丁寧な対応を心がける
・ すぐに反論しない。回答作成後、時間を置く
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■過激・過剰な表現もあり得る。低姿勢・丁重な対応に徹する
■ 長文のものはほとんど意見、糾弾、批判。傾聴し、うまくかわす
■ 細部の一問一答を回避。真意を質問し、簡潔な回答を心がける