『DIE WITH ZERO』(ビル・パーキンス著)には、「経験には、その後の人生にもたらされる配当がある」といいます。経験は、その日で消費するものではないのです。人生の中で何度も価値を生み出すものなのです。
今回ご紹介する「タイムバケット」(=時間のバケツ)は、人生終盤になって「残り時間が少ないから、やりたいことを急いで実現しよう」と、考える方法ではありません。まだ時間がある今だからこそ、未来の時間を先回りして設計し、経験の機会を逃さないための方法です。
タイムバケットの本質は「残り時間」ではなく「これからの時間」の設計
著者のメッセージは「良い仕事に就き、膨大な時間を捧げて働き、60代から70代に引退して、そのあとで人生の黄金期を過ごす」という従来の価値観に従った生き方を見直すきっかけになります。
タイムバケットは、人生の残り時間を惜しみ、やりたいことを急いで実現するための方法ではありません。むしろ、その反対。「まだ時間がある今のうちに、これからの人生を見渡し、何を、いつ経験するかを計画しておく」。それが、タイムバケットの本質です。
タイムバケットでは、まず「死ぬまでに何をしたいか」と考えるだけでなく、「その経験は、いつ実現するのが最も良いのか」と考えます。
これは、未来を悲観することでも、老後への不安に駆り立てられることでもありません。未来には、今とは違う体力、環境、役割、可能性があることを理解し、時間の使い方を主体的に決めるということです。
タイムバケットの具体的な作り方
STEP1:人生の時間軸を描く
現在から、自分が想定する人生の終盤までを5年または、10年ごとに区切る。寿命は誰にもわからないため、正確な予測をする必要はない。まずは仮の時間軸を設定する。たとえば、60歳からの人生を考えるなら、次のように区分できる。
- 60〜64歳・65〜69歳・70〜74歳・75〜79歳・80歳以降
STEP2:やりたいことを自由に書き出す
費用や実現可能性はいったん考えず、やりたいこと、会いたい人、行きたい場所、学びたいこと、挑戦したいことを思いつくままに書く。
たとえば、海外旅行、夫婦や家族との思い出づくり、新しい資格の取得、趣味の上達、仕事での新たな挑戦、社会貢献、友人との再会など。
大きな夢だけでなく、静かな海辺で過ごす、気になっていた店に行く、身近な人に感謝を伝えるといった日常の経験も含める。
STEP3:それぞれの経験を最適な年代に配置する
書き出した項目を、どの年代に実現したいかという視点で振り分ける。たとえば、体力を使うことは元気なうちに、家族との旅行はお互いの都合が合う時期に、学んだ知識を仕事に生かすことは活用できる時間が十分にある時期に計画する。
このとき重要なのは、費用を理由に最初から夢を消さないこと。まず「いつ、何を経 験したいか」を考え、その後に予算や方法を検討する。
STEP4:今後1年の行動に落とし込む
タイムバケットは、書いて満足するためのリストではない。直近の時間の箱から、実現したいことを一つか二つ選び、具体的な行動に変える。「旅行」なら具体的に行き先 を決める。「友人に会う」なら連絡する日を決める。「新しい学び」なら、講座を探して申し込む。夢を予定に変えることで、初めてタイムバケットは人生を動かす計画になる。
タイムバケットを作ることの意味と価値
- 時間には適切な使いどきがあることに気づく
- 経験を「消費」ではなく「資産」として捉え直せる
- お金の使い方を見直せる
- 「いつか」という曖昧な言葉に期限を与える
- 人生の豊かさは、資産残高だけで測れないことに気づく
