ボストーク松山藤原塾

これで終わりではない?

【季節の話題】

雨の日が断続的に続き、気温も少しずつ上がってきたようです。今年4月20日(月)から5月4日(月)までは「穀雨(こくう)」といって春の最後の二十四節気です。もうすぐ田植えも始まります。もうすぐ夏です。

iPhoneやApple Watch、MacBookなどのPCを作っているアップル社を15年率いてきた最高経営責任者(CEO)のティム・クック氏65歳が引退し、後任にはジョン・ターナス上級副社長が就くことになりました。創業者であるスティーブ・ジョブズ氏は当初、ソニーのことを意識していましたし、彼のユニフォームだった黒のタートルネックは三宅一生デザインのものでした。AmazonやGoogleに比べて、日本人にも少し親近感のある会社です。競争の激しいテック業界は、AIが中心になってきていますが、アップル社は出遅れていると言われており、メディアではさてどうなるのか?というコメントが多く見受けられますが、私の年齢に近いティムがトップを退くということに感慨があります。

日本人にとってフィジカルAIと言えば、ドラえもんは代表の一つでしょう。Wikipediaによれば、ドラえもんが誕生したのは1969年、小学館の学習雑誌での連載が始まりました。その後コロコロコミックに移管され、今に至ります。なお、ドラえもんは欧米ではあまり拡がりませんが、アジア、南米圏で人気を得たそうです。作家の藤子・F・不二雄さんが亡くなった後も続いていた掲載が終了しました。Appleと同じく、これも一つの区切りです。

【今週考えたこと】

愛媛新聞の記事から2つ
今治・サンライズ糸山にリゾートホテル 四電ビジネスが計画 2028年ごろオープン予定JR松山駅周辺整備、愛媛県がHPで情報発信 市主体事業と一線を画し「本年度中に完了」強調

数年前から大三島の仕事をしています。大三島では外国人がサイクリングしているところをよく見かけます。道後温泉のような観光地とは少し異なり、自分たちのリズムで瀬戸内の良いところを満喫している感じがします。島内もオシャレで新しい店が続々とできています。ただ、共通しているのは、自分たちができる範囲でやっている、自然に溶け込み、島の雰囲気にマッチしているというところです。糸山に計画されているリゾートホテルは、恐らくおしゃれでリッチなものになるのだと思います。海外から人を集めるという点ではどちらもとても良い発想です。おしゃれなホテルもあるし、地元密着の民泊やカフェもある、どちらも瀬戸内を楽しめる場所です。

それに比べて、JR松山駅。最近、市内から空港に向かってサクラメント通り(千舟町空港線)を通る機会がありました。JR松山駅高架化に伴い、アンダーパス(線路下をくぐるために地面から低く設定された立体交差道路)部分を埋め戻す工事が始まったための迂回路です。JR松山駅の様子を見ることができるのですが、異様に拡がる空き地を見ていると、これからどうするんだろう?と考えてしまいます。

大三島は県外や海外から「良いとこ見っつけた!」って人が集まってきて、楽しみながら、そしてお金もあまりかけず(ここが大切)、行政との深い関わりがないところで(今治市もそれなりに支援はしています)賑やかにやっているところです。比べて、人もお金もある松山市の事業はどうなったんでしょうか。一歩前に進んでほしいところです。

国債の利払い費は金利が上がっても一気に増えるわけではありません。すでに発行されている低金利の国債は、償還されるまで低い金利です。10年国債で見れば、すべての国債が新しい金利に入れ替わるには10年かかります。単年度の予算を見ているだけでは、国債の利払い費は増えないというところが怖いわけです。

高市政権は税金を使って金利や物価を抑え込もうという政策のようです。政策としてそのような局面が必要な場合があるのは理解します。しかし、今がその時なのかという視点が必要です。「その時」とは、どのようなことか。短期間で押さえ込む必要がある場合は、YESかもしれません。しかし、長期間に及ぶ可能性がある、他の要素も複雑に絡んで物価だけの問題ではない場合はNOだと思います。では、今はどちらでしょうか。イラン戦争をきっかけとして世界の石油関連の流れが大きく変化し、調達コストが上がりそうです。景気の過熱感はありませんから、このコスト上昇は企業の利益を圧迫します。それは景気減退につながる可能性があります。

もし、日本が金利を抑制すると、円安につながり、さらに調達コストが上昇する可能性があります。これらはあくまでも予想されるシナリオであり、その通りになるかどうかは分かりません。しかし、その可能性がゼロではないと思われます。経済的にそのような可能性があるなら、長期的な視点に立って経済政策を立案すべきです。

それにしても、イラン戦争を巡る外交交渉を見ていると、外交って一体何なんだと考えさせられます。「交渉」と言えるものではないです。本当に合意できるのか、仮に合意にまで至ったとして、その合意が守られるのか。引き続き不安定な中東となりそうな気がします。

【今週のAI】

今年は確定申告でAIを使ったら簡単に作業が終わったという話があちこちで聞かれます。旅行の計画を立てるときに、自分で一通りプランを作ったあとAIでチェックしてもらうという話も聞きます。私も原稿を書くときに、AIを利用しながらヒントをもらったりします。今やAIがないと仕事もプライベートも困る時代になってきました。AIに仕事を委ねた分、私たちは進化したところがあるのでしょうか。逆に、今までは自分たちで考えて決めていたところをAI任せにして、考えることをやめてはいないでしょうか。

先週取り上げたAnthropicの「Claude Mythos(クロード・ミトス)」でも触れましたが、世界中がこの問題を真剣に取り上げ始めたようです。

この記事の中に「退職時に同僚に宛てた手紙に書かれた「(AIが)世界に影響を与える能力と同じだけ(人間が)知恵を深めなければ、その代償を払うことになる」との警鐘が現実味を増している。」(酒井の勝手な解釈)というコメントがありました。AIに任せる仕事が増えたら、人は楽になるわけではない、と言えそうです。

これに関連する話題。あるブログを見ていたら、日本の税法に関連する法令、通達、判決や国税庁のHPにあるような情報をAIが読み込めば、税務申告はすべてAIでできるという話が書かれていました。果たしてそうなんだろうか。確かに、私たち税理士は、税務上の判断をするときに、法令、通達、判決などを参考にしていきます。日本の税法は複雑だからAIでは無理という話もありますが、単に複雑なだけなら、AIは対応できると思います。問題は、法令側ではなくて、税法が対象にする事実の側にあると思います。目の前の事案にピタリと当てはまる法令はまずありません。税務調査における交渉はそれらの法令を定規のように当てはめて終わるものではありません(法令解釈が無視されることもありません)。表面的なところだけを見て税務上の判断をしていると、間違ってしまう可能性があります。税法では、形式論だけでなく、実質論を重視する傾向があります。実際、形式だけで行われた節税策が実質的な判断で否認されるケースはよくあります。ここをAIが判断できるか、です。

また、税務署側の思考回路と税理士側のそれとは違うような気がします。それぞれの発想と問題解決につながる理屈や発想をコードで書くことができるか、できるとすればどのようなコードになるのか。なんか違和感を覚えて執筆者の肩書きを見ると、税理士ではありませんでした。やっぱりね。


※この記事では一般的な経済市場動向についての情報提供を行っているもので、特定の投資を推奨又は勧誘するものではありません。