ボストーク松山藤原塾

日傘って良いかも

皆さん こんにちは

引き続き暑い夏が続いています。松山市内を少し歩く機会があったのですが、陽射しが強くて、思わず日傘を買ってしまいました。町中をよ〜く見ると、日傘を差して歩いてる男性の姿を普通に見かけます。いろいろ工夫して、この長い夏を乗り切る必要がありそうです。

参議院選挙は、7月3日に公示され、20日が投票日です。愛媛県選挙区も候補者が5人と、いつになく賑やかな選挙になっています。今回は、国内外の様々な角度から問題が噴出していて、とても難しい選挙になると思われます。

今週はまずこの選挙について考えました。

最初は軽めの話題から。SNSをはじめとして、ネット界隈が賑やかなのですが、例えば日経電子版には、VOTE MATCHというサイトがあります。関心がある政策を選んでいくと、あなたの考えていることにはどの政党がマッチしているかを教えてくれます。しかし、この政策選びが難しい。外国人労働者の受入や大企業の課税といったテーマについて、自分が考えていることと完全一致する政党はまずありません。減税か給付かと問題点を絞り込めば分かりやすいですが、国の課題を考えれば考えるほど政治って本当に難しいです。選挙関連の報道を見たり、公約を眺めたりするのも良いですが、自分の政治に対する考え方を考えるという意味で面白い体験でした。日経電子版を契約されている方はぜひ試してみてください。

次に、今回の選挙では国政選挙として今までになくSNSが注目されています。例えば、X(旧Twitter)での投稿やその反応が取り上げられています。しかし、SNSは自分たちが思うことを一方的に伝え、一方的に反応するだけです。注目されていることで、特定の人を過度に攻撃するような投稿が減っているのか、そのあたりは不明ですが、多くの人が関心を持って見ている感じがします。新聞などの電子版も、SNSを意識して報道の仕方が変化しているように感じますが、実態はどうなのでしょう。また、一方的であると言うことで、議論につながっていないという指摘もありました。政治は議論、自分の意見を主張するだけでなく相手の意見を聞くことから始まります。今はその感覚が薄れてきていますが、その妥協点を構築するのが政治とも言えます。SNSの現状では、そのレベルには到達しないのかもしれません。

ちなみに、公職選挙法によると、有権者が電子メールを使って投票を呼びかける行為は禁止されています。しかし、ブログやSNSなどを使う場合はOKとなっています。その電子メールについて、スマホのショートメッセージSMSも電子メールの扱いとなって禁止の対象となるのだそうです。LINEもSMSも一緒に使うことがあるかと思いますが、もし選挙で利用することがある場合は注意してください。

今週2つ目の大きなテーマは、関税を巡る話題です。

米国のトランプ大統領は、現地時間の7日正午、8月1日から適用される新たな関税率について、日本と韓国に対して25%になることを通知しました。7月4日までの猶予措置が、ひとまず区切りを迎えることになるかもしれません。しかし、諸外国との関係がこれほど軽く扱われる歴史も珍しいのではないでしょうか。

トランプ氏が関税に固執する理由の一つは、米国の貿易赤字であり、諸外国は米国に輸出することで冨を米国から吸い上げていると言われています。確かにUSスチールのように国際競争力を失った米国の企業はたくさんありますが、AppleやGoogleのような超巨大な企業もあります。貿易赤字は貿易上の収支で計算しますが、ここにAppleが稼ぐ利益はほとんどカウントされません。iPhoneについて考えると、世界中から部品を調達し、中国で組み立てて世界で販売しますが、海外の事業者がそこから得る利益=付加価値に比べると、米国にあるApple本社の利益は比較できないくらい巨額なものとなります。本当に米国の冨は海外に吸い上げられているのだろうかと思います。

米国内ですごく儲かっている会社の業績をどのように考えれば良いか。参考として、その国で新たに生み出された付加価値の合計である国内総生産GDPについて見てみます(Googleから世界銀行のデータを見てみました)。2023年の米国のGDPは27.72兆ドルです。これに対して、中国は17.79兆ドル、日本に至っては、4.2兆ドルしかありません。しかも、日本は失われた30年と言われるように、この間の経済成長は止まったままです。米国は30年前1995年のGDPは7.64兆ドルでしたから、この30年間で3.6倍の経済成長があったことになります。

GDPの計算上、「輸入」はマイナスとして働くと言われますが、その考え方は間違っているという意見もあります。経済学について深く学んでいくと、面白いことがたくさんありそうです。

米国内には、巨額の財政赤字、貧困問題、社会保障の問題とたくさんの課題を抱えているのですが、その原因は果たして貿易赤字と言い切って良いのかという疑問がでてきます。しかし、そのような問題を取り上げる余裕は今の米国にはないように感じます。

今週はちょっと硬い話題でした。選挙だけでなく、米国の関税問題について考えることは、世界経済を学ぶ良い機会となります。夏休みは読書に浸ってみましょうか。