ある物事について、まったく知識がないというときに「右も左もわからない」と言いますが、「左も右もわからない」と、『左』を先にする人が時々いるようです。
「右も左も」と、「左も右も」。左右が入れ替わっても大差ないじゃないかと、思うのですが、本来は「右」が先です。
西洋では、「右が上位」と考えられています。そのため、右はright(正しい)です。しかし、日本では古来より「左上右下」とされ、左大臣の方が右大臣よりも上位とされてきました。世界的には「右」を尊ぶことが一般的なのに、なぜ、日本だけ「左」が上位になるのか、はっきりとした理由はわかっていないようです。
ただし、面白いことに「右」と「左」が一緒に出てくる慣用表現では、「右」の方が先になります。(「微妙におかしな日本語」神永暁著)
たとえば、「右に出るものはいない」の場合は、右を上と考えて、その人以上に優れた人はいないという意味になります。「左に出るものはいない」とは、言いませんね。また、今までよりも低い役職や地位に落としたり、中央から地方に移したりすることを、「左遷」と言いますが、これも中国で右を尊び、左を卑しんだことことに由来します。
しきたりとしては、「左」が上位でありながら、言葉になると「右」が先。というのは、いかにも和洋折衷を異としない、日本的なアイデンティティが潜んでいるようで、興味深いところです。「右」上位の言葉は、そのほかにも以下の通りです。
- 「右と言えば左」人の言うことに、すべて反対すること。
- 「右から左へ受け流す」留めておく間がないこと。
- 「座右の銘」自分の行動や考えの基本となる励ましや戒めの言葉。古代中国で、 皇帝が自分の右側に信頼できる補佐官を座らせていたことに由来。
