「心理的安全性」とは、チームのメンバー全員が、自分の意見、疑問、ミス、懸念などを、拒絶や罰を恐れずに率直に言える安心感のことです。ハーバード大学のエイミー・C・エドモンドソン教授が提唱した概念で、高いパファーマンスや創造的なイノベーションを生み出す組織に不可欠な土台とされています。(「厳しいことを言わない。ミスを許容するだけの仲良し組織」ではありません。)
安全安心で成長できる環境をつくるのは、上司である管理職です。人は「能力」よりも「環境」によって成果を生み出すという事例をご紹介します。
スタンフォード監獄実験(役割と環境) フィリップ・ジンバルドー(1971)
無造作に選ばれた学生を「看守役」「囚人役」に分け、模擬刑務所で生活をさせたところ
- 看守役 → 権威的、暴力的に変化
- 囚人役 → 無力感、従属化
つまり、人格や能力ではなく「置かれた環境、役割」が行動を変えた。
<組織示唆>
- 人はポジションで振る舞いが変わる
- 権限設計が文化をつくる
ピグマリオン効果(期待の環境) ローゼンタール&ジェイコブソン
教師に「この生徒は伸びる」と伝える(実際はランダム)
結果=期待された生徒の成績が向上
理由=声かけが増える/フィードバックが丁寧/挑戦機会が増える
<組織示唆>
能力より『期待される環境の差』が成果差を生む
Google「Project Aristotle」
高業績チーム研究において、結論として最も重要なのは『心理的安全性』であると判明。 能力、IQ、学歴ではなく、
- 意見を言える
- 失敗を責められない(組織として原因究明と改善を行う)
- 助けを求められる(孤立しない)環境のチームが最も成果を出した。
トヨタ生産方式(人より仕組み)
トヨタの思想:「人はミスをする。ミスを防ぐ仕組みを作る」
例)アンドン(異常停止)、ポカヨケ(ミス防止装置)
優秀な人材依存ではなく、『普通の人が成果を出せる環境設計』。
野球・スポーツの移籍事例
同一選手でも、A球団では不振でも、B球団で覚醒するということがある。
理由:指導方針、起用法、チーム文化、ファンの期待など。
能力は同じでも、『発揮環境で成績が激変』。
ビジネスでも同様で、前職ではエースでも、転職後は低評価。(その逆もある)
看護・医療のチーム研究
医療事故研究では、『個人能力』より、『チームコミュニケーション』が安全性を左右。心理的安全性が低い病棟ほど、インシデント報告が少なく、重大事故が多い。
日本企業の配置転換事例
典型例として、営業では低評価で、企画へ異動したところ高成果を上げる。(逆もあり)
適材適所=能力開花環境。
まとめ:成果を分ける3つの環境要因
- 心理環境 安心して話せる/失敗許容/承認文化
- 構造環境 役割明確/権限付与/仕組みか化
- 関係環境 上司の期待/同僚支援/フィードバック量
