私が考える「良い質問」とは
- 相手に気づきを与える
- ゴール(目的)がある
- 課題解決に導く
- 情報を収集、整理する
- 会話を発展させる
「聞き上手」とは「質問上手な人」。コミュニケーション力が高く、相手から情報を引き出すのが上手い人といえます。多様性を重んじる社会で、益々必要とされる重要なスキルの一つにも関わらず、私たちは「良い質問」のトレーニングをほとんど受けたことがありません。
「『なぜ』と聞かない質問術」(中田豊一著 ダイヤモンド社)では、「思い込み」を排除し「事実に絞って質問すること」の重要性が説かれています。
「最近どう?」は、悪しき質問
「どう質問」は、「どう?」のひとことで、考えなどを一気に聞いてしまおうという怠惰な質問です。聞かれた方は「相手が何を知りたいのか、はっきりわからない状態」のまま、何か思いついたことを答えようとします。
例)先週の話し合い、どうでした?(経営陣との微妙な調整に当たった上司に)
うまくいかなかった場合や、話が複雑で説明が難しい場合などは、相手にとって「答えにくい質問」になってしまいます。そうなると会話はなかなか深まりません。
「上手くいきましたか?」などと付け加えてしまった場合は、場を凍らせかねません。「いつ、どこで、何が、誰(が、に、と)」のうちで、どれが一番聞きやすく、次に繋げていきやすいかを考えながら、最初の質問を作ります。
この場合、「何が(を)」は一番センシティブ。一方「どこで」は簡単ですが、あまり意味を持たないでしょう。つまり「いつ」か「誰」のどちらかが入りやすいことがわかります。また、「何時から何時までやったのですか?」「2時から4時まで」「それは長いですね、お疲れ様です」となります。ここで「だれ質問」に移って「こちらでは、課長と次長のお二人だったと聞いていますが、経営陣からはどなたが対応してくださったのですか?」と、続けていくことができます。
まどろっこしいように思うかもしれませんが。このように、相手が答えやすい事実質問から入っていくことで、状況を具体的に思い出してもらう環境を整えることができます。正確に思い出してもらえなければ、質問する意味がありません。
「みんな」ではなく「だれ?」と聞く
例)「みんなは、どう言っていますか?」(職場の会議で)
「みんなは、どう言っていますか」では、あいまいな質問になるため、具体的な回答が得られません。「どなたか反対意見を述べられた人はいますか?」と、まず聞くと、イエスかノーかで答えられるので、相手は答えやすくなります。
「はい」という答えなら、「何人くらいいましたか?」と、聞き込んでいき、状況によっては「どなたと、どなたが反対意見を述べられたのか、よろしければ教えてください」と、聞くことができます。名前が上がったら、その中から一人を選んで「ちなみに○○さんの倍は、具体的にはどんな言葉で反対を表現されていましたか?」などと聞き続けていきます。事実質問を続けていくには技能が少々必要になってきます。
たとえば「どう?」と、聞かれたときの対処
職場の同僚と顔を合わせた途端に、「研修、どうでした?」と聞かれたとします。相手が事実を質問する術を知らないなら、平静を保って「まあまあだったかな」とか「よかったよ」などと普通に対応すれば良いでしょう。それが挨拶代わりの「どう質問」なら、話はそれで終わりで、別の話題に移っていきます。
しかし、相手が質問の仕方を知らないだけで、研修のことに大いに関心を持っているなら「どこで研修のことを知ったの?」「どこに興味を持ったの?」と、逆に事実質問を挟む形で相手の知識や経験を確かめながら説明をしていくわけですが、それほどの知識も興味もないようなら適当に報告するだけで十分でしょう。