日本では昔から、6歳の6月6日に稽古ごとを始めると良いと言われています。なぜ6歳なのか?なぜ6月6日なのか?いくつかの理由があるようです。
世阿弥による「風姿花伝」
室町時代、能を大成させた世阿弥が記した「風姿花伝」には、「この芸において、おおかた七歳をもって初めとす」(能の稽古は、およそ数え年の7歳、つまり満6歳から始めるのが良い)と説かれています。6歳になると、その子の興味がはっきりしてきて個性が表れる。そのため、教え方も自然に任せるのがいいと言っています。
「その子の好きなように、心のままにやらせておくのが良い。『こうしたら良い』とか『それはいけない』とか、事細かく教えるのはかえって良くない。口うるさくあれこれと注意すると、子供はやる気を失って、面倒くさいと思って怠けてしまうから、進歩はしなくなる。子供には基礎的なことだけを教えて、それ以上のことをさせてはならない」のだそうです。
6月6日 指折り説と歌舞伎のセリフ
江戸時代になると、この教えが歌舞伎にまで広まり、「6歳6月6日」という語呂合わせが、歌舞伎のセリフの中でよく使われるようになりました。それが「習い事は、6歳6月6日始めると上達する」と、庶民の間にも広まっていきました。
また、親指から順に「1,2,3,4,5,6、、、」と、指を折って数えると、「6」の時には、小指が立ちます。このことから「小指が立つ」=「子が立つ」「自立する」と、言われるようになり、「6歳6月6日の稽古始めは、縁起が良い」と言われるようになったそうです。
稽古は「古(いにしえ)を稽(かんが)える」こと 温故知新
稽古は「古から稽える」の字の通り、先人の教えから学び今を知るという「温故知新」です。巷では、66歳6月6日をシニアの稽古初めとするカルチャー教室もあるようです。いくつになっても、古に学ぶ「温故知新」の姿勢は大切にしたいものです。