F&Aレポート

変わりゆくマナー?「ナプキンの輪」

 「レストランの食事で、ナプキンの輪(折り目)はどちらに向けたらいいのでしょうか?」と、いう質問を受けました。

 テーブルマナーでは、ナプキンの輪は自分の体側に向けますが、最近のマナー本には反対のことが書かれているので、どちらが正しいのか迷うというのです。

「反対のことが書かれている」というのは、ナプキンの輪を自分の腹側ではなく、膝頭の方に向けるということです。その方が、ナプキンの内側で口もと拭きやすいというのが理由のようです。

 そのような説は初めて聞いたのですが、言われてみれば確かに、それも便利な方法なのかもしれないと思いました。しかし、ナプキンが安定しにくく、ずれて落ちてしまうのではないかと気になりました。

 このレポートを読んでくださっている貴方は、どう思われますか?

 そもそもナプキンは食事中に、口もとや手を拭くために用意されたものなので、輪の側がどちらに向いていても良さそうなものです。ただ、床へ落ちてしまうと、自分では拾わず給仕の方に拾っていただき、新しいものと交換してもらうことになります。

 輪を自分の体側に向ける方が、より安定します。また、食事中にナプキンの折り目を微調整すると、洋服を汚さず自然に自分の体型や動きとフィットさせることができます。

 日本のテーブルマナーのルーツは英国で、明治時代に日本の皇室が、イギリス王室をお手本にしたのが始まりと言われています。歴史や伝統を重んじ、お互いの敬意と思いやりの精神が形となったのがマナーです。時が流れて、世の中変化しています。情報もサービスも豊富な現代は、多様性を認める世界になりつつあります。

 マナーに限らず、どちらが正しいか、正しくないかの二択では判断できないこともあるでしょう。そんな時は「そもそも」の基本に返り、自分が何を選択したいのかを考えることも一案でしょう。ナプキンの輪、私は体側に向けて美味しくいただきたいと思います。