私が主催する話し方講座では、準備体操として数分間の「深い呼吸」をします。これは、気持ちをリセットして集中力を高めることができます。また、「深い呼吸」では、呼吸回数がかなり少なくなります。
成人の呼吸数は、1分間に12回〜20回が正常値といわれていますが、「深い呼吸」をすると、多い人で4回〜5回、少ない人で2.5回〜3回と、かなり呼吸回数が少なくなります。(深い呼吸をするときには、1分間の回数を数えてもらいます)
ただし、この呼吸には、ひとつ注意点があります。それは「姿勢」です。深い呼吸をするときに「丹田を伸ばす」ということです。
「丹田を伸ばす」と、自然に背筋が伸びます。背筋が伸びることで、体の前側が伸び、肺が正常に機能しやすくなるからです。
私たちは、スマホやパソコンなどに向かう時間が長いと、つい猫背になり呼吸も浅くなってしまいます。浅い呼吸では、脳にも体にも十分な酸素が行き届かなくなり、脳も疲れやすくなるのです。
息を吸うときは交感神経(興奮や緊張状態のときに優位になる)が、息を吐くときには副交感神経(リラックスして集中した状態を生みやすくする)が働きます。
まずは、5秒間で息を吐いてみましょう。吸うときは2秒か3秒。自然に息を吸える長さで構いません。意識を「吐く」方に向けることで、自然と自分の内側に集中するようになります。また。繰り返すうちに、息を吐く時間がだんだん長くなります。
「姿勢」と「呼吸」というと、瞑想などの宗教的なものをイメージする人も多いかもしれませんが、脳科学が発達した現代では、そのメカニズムが証明され、さまざまな効果が発見されています。