F&Aレポート

自販機大国ニッポン「社長のおごり」

 一般社団法人日本自動販売システム機械工業会によると、2023年末における飲料の自販機は221万8600台だそうです。設置台数だけを見るとアメリカに次いで世界第2位ですが、人口比率で見ると、日本は世界一を誇るそうです。

 そんな自販機の中でも、社内のコミュニケーションをはかるためにユニークな工夫がされた「社長のおごり自販機」は、お聞きになったことがあるかもしれません。

 自販機のセンサーに二人が同時に社員証をタッチして、10秒以内に商品ボタンを押すと、二人とも無料で飲み物がもらえるという仕組みです。福利厚生として、費用は企業が負担するので「社長のおごり」というネーミング になっています。

 今や、同じ部署にいてもリアルなコミュニケーションは意外と限られていますし、まして、業務以外のことで会話をすることは、ほとんどないというのが珍しくないご時世です。

 あえて「社長のおごり自販機」を利用することで、コミュニケーションのきっかけになるのはもちろん、会議などの前なら良いアイスブイレイクになることもあるそうです。

 私の知人で「いい仕事は、いいコミュニケーションからしか生まれない」と、断言する社長もいます。

 コミュニケーションとは「情報共有」。「情報」は事実だけでなく、感情や思考、価値観なども含まれます。日頃から情報共有による相互理解ができていれば、心理的安全性も自ずと育まれることでしょう。

 心理的安全性が担保されていれば、意見交換もしやすく、課題解決や突発的なトラブルへの対処もスムーズに行われますし、自己肯定感も高まります。

 街中や公園に自販機が当たり前のように設置してある理由として、まずは治安が良いことが挙げられます。大げさかもしれませんが、今のところ自販機は平和と安全の証といえるかもしれません。組織の中にも平和と安全、心地の良いコミュニケーションが存在するのはいいですね。たかが自販機、されど自販機です。