F&Aレポート

6月「環境月間」1 世界が注目する「最もサステナブル」なオリンピック パリ五輪のレガシー

 2024年夏季オリンピック開会式は、7月26日午後7時30分(日本時間7月27日午前2時30分)にパリで行われ、8月11日(日本時間8月12日)まで開催されます。式典はパリ中心部を流れるセーヌ川の約6kmの区間で開催され、選手や関係者らが水上パレードをします。(個人的には、歌舞伎役者が博多の柳川で行う『船乗り込み』を連想しますが、規模が違いすぎます)

 日本でも、にわかにオリンピック関連の報道が目立つようになり、取り分け、日の丸を背負う各競技の代表選手は誰なのかと、注目度が高まっています。一方で、今大会で最も注目すべき点は、国をあげた「環境に配慮された取り組み」にあります。折しも、6月は「環境月間」であり、国連は6月5日を「世界環境デー」としています。今回は「環境課題」に視点を定め、今後私たちの社会生活で常識になるかもしれない、パリ五輪のサステナブルな取り組みをご紹介します。(参考 TBSNEWS/ANNNEWS/パラサポWEBほか)

エアコンのない選手村

 パリ郊外に建設中のオリンピック・パラリンピックの選手村は、最大14,000人の選手や関係者が滞在する予定です。この建物は木材や超低炭素コンクリートが使用され、二酸化炭素の排出量は、従来よりも半分近く削減されるということです。また、ベッドは東京大会と同じくリサイクル可能なダンボールで作られています。

 さらに、部屋にはエアコンはなく、床下に冷たい地下水が流れる仕組みになっています。室温を下げる効果があるということです。

 これは環境への配慮というだけでなく、室外機が景観を損ねるという理由もあるようです。大会期間中は猛暑で40度近い気温も予想されるため、選手のコンディション調整のために、自前でエアコンを準備することを検討する選手団もいるということです。

水上パレードは、ディーゼルから電動船へ

 セーヌ川を下る開会式のパレードに使われる船。以前は、ディーゼル燃料で動いていましたが、オリンピックをきっかけに電動に改修されました。これらの船は、観光客向けの遊覧船として使用されていますが、開会式ではおよそ200隻の船に選手やパフォーマー、警察官や撮影スタッフらが乗る予定となっています。そのうちの30隻が電動、またはハイブリットに改修されたということです。

 船での移動は安全面での課題もあります。開会式当日はおよそ30万人の観衆が見守ると予想されていますが、テロなどを警戒し、警備には4万5000人の警察官らが配置されるといわれています。

ペットボトル飲料の持ち込みはNG

 パリ五輪では、使い捨てプラスチック使用の全面禁止が宣言されました。競技会場にペットボトル飲料の持ちコミは不可、マイボトルが必需品です。スタジオグルメもリサイクル可能な容器を使用し、脱プラスチックを図ります。

 また、観客は公共交通機関や自転車、徒歩移動となるため、サイクリングロードの整備やレンタサイクルの増設が進んでいます。大会の公式スポンサーであるコカ・コーラ社は、会場に再利用可能なガラス瓶やソーダファウンテン(無料の飲用水サービス)を設置するということです。競技場には、ペットボトルを捨てるゴミ箱がない代わりに、無料の給水ポイントが設置され、必要なときは誰でも給水できる仕組みになっています。

街中の五輪 参加型オリンピックの提唱

 パリ五輪では史上初の試みとして、一般参加選手を対象としたマラソンと自転車ロードレース大会を開催。一般参加者にとって五輪代表選手と同じコースを体験できる貴重な機会(大会公式アプリからの抽選)となります。また、開会式も川沿いの歩道から無料で見ることができるため、チケットの有無を問わず参加でき、閉ざされた空間の五輪ではなく、「街中のオリンピック」を目指しています。