エンゲージメントとは、エンゲージリングと言うように、「婚約」「誓約」「約束」などの意味ですが、「深いつながりをもった関係性」を表す言葉です。ビジネスでは「仕事に誇りを持っているか」「やりがいはあるか」「熱意はあるか」等。「エンゲージメントが高い社員、低い社員」といったような使われ方をして、会社への帰属意識を問う指標にもなります。
さて、人手不足を鑑み、ようやく入社してくれた新入社員を歓迎し育成するために、最近の入社式では、「エンゲージメントを高める」「愛社精神を高める」ための工夫がなされています。
入社式の目的
そもそも役員以下、関係者、従業員が揃い、時間と労力とお金を費やして入社式を行う目的はなんでしょうか。「慣例だから」で済ませてしまうのは、あまりにももったないことです。ここは関係者一同が共通認識を持って臨みたいところです。
- 社会人としての自覚を持つ
- 会社の一員としての自覚を持つ
- 会社の理念と目的、存在価値を共有する
- 新入社員、既存社員の仲間意識の醸成する
- 愛社精神、エンゲージメントを高める
- 新入社員の早期離職を防止する
早期離職者を出さないために
最近は「退職代行業」を通じて、入社から3ヶ月もしないうちに、あっさりと職場を去る人も珍しくありません。実際、そのような辞め方をする人は、事前に上司や先輩に相談することもなく突然、出社してこなくなるというのが特徴のようです。
会社側として「そんな人間は最初からうちにはふさわしくないのだから、辞めてもらって結構!」と、言いたくなるかもしれませんが、他の社員へ影響して第2、第3の離職者が出るのは、なんとしてでも避けたいものです。相当の苦労をして採用したのですから。
入社式は従来の型にこだわることなく、自社の特性(個性)を活かし、迎える側も迎えられる側も新たな気持ちで、共にゴールを目指す気持ちになれるような工夫を施したいものです。来年の入社式までは、まだ1年あります。検討の余地ありではないでしょうか。
参考までに、他社の事例を覗いてみましょう。
親(家族)同伴の入社式
「成人したのに親の同伴はないだろう」と、思われるかもしれませんが、息子(娘)がどんな会社に入社するのか興味のない親はいないでしょう。また、企業姿勢を親に見てもらう(理解してもらう)ことで、安易な退職を防ぐという効果もあるようです。
本社、工場や店舗などの現場で行う入社式
ホテルや会議室などを借りて、社長祝辞、新入社員挨拶、入社辞令の交付、記念撮影、会食という形通りのせレモニーになりがちですが、あえて「現場」で行うことで、リアルな姿が見えます。新入社員を「お客様」扱いするのではなく、「クルー(乗組員)」として迎えることに意義があるでしょう。
共同作業を体験させる入社式
プラモデルやパズルのピースを渡して、全員で考えながら完成させる。または、役員以下、既存の社員も参加して、サイクリングや運動会を行うというものもあります。コミュニケーションを図り親睦を深める効果があります。
靴磨き、アイロンがけを指導する入社式
社会人として身だしなみを整える。または、物を大事にする習慣を身につけるため、その道のプロを招いて「靴磨き」や「アイロンがけ」を伝授するという入社式もあるようです。翌日からすぐに使える裏ワザなどは実用的です。
飲み会、宴会などのテーブルマナーを含めた会食
交流を目的として、入社式で歓迎会や会食が行われることはよくありますが、ただの会食ではなく、飲み会の会話や心得、和食や洋食のテーブルマナーを教わるという入社式。こちらも実践に即活かせることが多く好評です。
経費をかけなくとも心に残る入社式はできます。良いスタートになるようお祈りいたします。