F&Aレポート

「92歳総務課長の教え」に学ぶ 1 ~一生使える仕事力 成長するための小さな習慣

「92歳総務課長の教え」に学ぶ 1 ~一生使える仕事力 成長するための小さな習慣

「世界最高齢の総務部員」としてギネス世界記録に認定された玉置泰子さんは、今も現役で「総務部長付課長」として大阪のねじ専門商社で働いています。現在の主な仕事内容は、経理事務とTQC(全社的な品質管理)活動事務局の運営です。

 玉置さんが15歳だった1945(昭和20)年、太平洋戦争が終わり、大黒柱の父親が56歳で亡くなりました。玉置さんには12歳の妹、8際、5歳の弟がいましたので「私が頑張らないと一家が路頭に迷ってしまう」という義務感で、商業高校を卒業してすぐ働き始めました。

 著書を拝読して何よりも驚いたのは、その言葉や文章がとてもしっかりしていることです。もちろん出版にあたりプロの編集が施されていると思いますが、それにしてもご本人の主張がしっかり表現されている!さらに夢がある!と、感服しました。

 仕事の考え方やコミュニケーション術など、人生100年時代を生き抜くためのヒントが満載の著書の中から、仕事における心身の健康術をご紹介します。(世界一仕事が楽しくなる!「92歳総務課長の教え」玉置泰子著 ダイヤモンド社

1、毎朝20分かけて新聞の見出しをチェック

 私は毎朝20分かけて新聞の見出しをチェックして、わからない言葉の意味を調べるようにしています。「5G」「DX」「GX」といった単語は、5年前にはほとんど目にしなかったものです。昔は辞書を引けばわかりましたが、こういった新しい単語は古い辞書には載っていません。その点、スマホやパソコンなどのネット検索は、どんなに新しい言葉でも、たちどころに意味がわかります。私は、辞書とネットの二刀流で検索しています。

 大事なのは、意味を知っただけで終わりにしないことです。それでは、まだ自分の血肉になっていないからです。隣の席の同僚から「なあ、5Gって何?」と聞かれたとして、「私も最近知ったんやけど、それは新しい通信規格でたくさんの情報が一度に送れるから、、、」と優しい言葉で説明できるようになってこそ、はじめて血肉となったといえると思うのです。実際は、誰からも聞かれることがなかったとしても、仮に意味を問われたらどう解説するかを考えながら理解を深めておくことで、一層学びが定着しやすくなります。

2、毎朝30分のヨガを欠かさない

 私は50年ほど毎朝ヨガを続けています。ヨガというと、身体を柔軟につかったポーズをとるものと誤解する人も多いようですが、本来大切なのは呼吸法と瞑想です。

 鼻から大きく息を吸ったら、いったんお腹の下に空気をためて、それを口から吐きます。一度に吐き出すのではなく、ハッハッハッというふうに小刻みに吐き切ります。そして最後に、頭のてっぺんで息を止める意識を持つと、脳が活性化されるそうです。呼吸は全身を動かすエネルギーのもとですから、元気も出てきます。

 ヨガの瞑想にはさまざまな方法がありますが、私は床にあぐらをかいて座り、背筋をピンと伸ばして目を軽く閉じるだけのシンプルなやり方で瞑想に入ります。これでストレスが霧散するのです。呼吸法と瞑想で計30分前後。心身がシャキッとして、今日も一日頑張ろうという明るい気分になれるので、一度試してみてください。

3、BMWで足を鍛える

 私が平日、ヨガと般若心経、朝食を終えて自宅を出るのは、午前7時半ごろです。会社まで片道1時間ほどかけて「BMW」で通勤しています。

 BMWとは「B=バス、M=メトロ、W=ウォーキング」の頭文字です。一日の歩数は往復の通勤のみで6000歩程度です。こうした毎日の通勤が、私の健康づくりに役立っていると思います。「老化は足腰から」といわれます。足腰が立たなくなると、現役で仕事をするのも難しくなります。たまに「歩くのが速いですね!」と驚かれます。急ぎ足になっているつもりはないのですが、足腰がまだ衰えていない証なのでしょう。このBMWは、これからもずっと続けたいと思います。

4、100歳まで現役で働き、エッセイストデビューを夢見る

 会社からは「100歳まで現役で頑張ってください」と言われています。100歳で退職したら、私にはやりたいことがあります。エッセイを書いてみたいのです。

 私は小さい頃、文学少女でした。少女時代は物書きになりたいと夢見た時期もありましたが、父が早くに亡くなったので、一家の大黒柱として働くほかありませんでした。その見果てぬ夢を叶えてみたいのです。