F&Aレポート

2024年流行色はパープル?「光る君へ」紫ゆかりの女性たち

 世界中の色の専門家たちは、文化やデザインの潮流を読み解きながら、毎年ヒットするカラーを予測するといいます。そんな中、2024年のトレンドカラーは、ピーチとオレンジの中間色である「ピーチファズ」と、青みの少ない「ハロー!ブルー」と言われています。

 また、その両色を掛け合わせたような「パープル」も、より新鮮なカラーとして注目されているようです。パープルは一見、敬遠されがちですが、日本人の肌の色や、観葉植物やナチュラルなイメージの家具などに意外に合わせやすい万能な色なのだそうです。

 ところで、2024年NHK大河ドラマ「光る君へ」は、平安時代を舞台に後世「世界最古の女性文学」と呼ばれる「源氏物語」の作者である紫式部の生涯が描かれます。この「源氏物語」には、紫ゆかりの女性たちが登場します。

「桐壺の更衣」:光源氏が3歳のときに亡くなった実の母(桐)
「藤壺」:光源氏が恋する義理の母(藤)
「紫の上」:藤壺の姪。幼少時に見つけ出し、最愛の伴侶に育てあげる(若草)
「女三の宮」:紫の上の従妹。四十歳になった光源氏に嫁いでくる正妻

 光源氏は「紫の上」について、「手に摘みていつしかも見む紫の根にかよひける野辺の若草」=「この手に摘み取って、早く我がものにしたいものだ。あの紫草にゆかりのある野辺の若草を」と、詠んでいます。ここでいう「紫」とは「藤壺」のことで、「若草」とは「少女」、「ゆかり」は藤壺との血縁関係を意味しています。つまり、光源氏は幼い頃に亡くした母を慕いつつ、永遠の女性像は「紫」(=藤壺)だったのです。

 その時代、紫は最も高貴な色とされていました。源氏物語にはさまざまな女性たちが登場しますが、この「紫ゆかり」の女性たちは、物語をつなぐ一本のラインになっています。

 大河ドラマでは恋愛ストーリよりも、平安王朝の権力闘争がメインに描かれるようですが、紫の「源氏物語」を思いながら時代背景を見つめていくのも興味深いのではないでしょうか。今年はなにかと気になる「紫」かもしれません。

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