F&Aレポート

「龍」のことわざ、四字熟語のご紹介

いよいよ 2023 年も残すところはわずかです。年始の挨拶には何かと干支が登場します。来年の干支にちなみ、龍にまつわることわざや四字熟語をご紹介し、年納めといたします。

1、十二支唯一の架空の動物「龍の九似」

辰年の「龍」は、十二支の中で唯一架空の生き物ですが、中国では麒麟、鳳凰、霊亀とならんだ霊獣のひとつで、四種の中で最も力がある動物とされています。また中国の王様は龍の生まれ変わりと言われ、龍はとても重要な生き物として崇められてきたという言い伝えがあります。そのせいか辰年は、勢いのある強い年というイメージが先行します。

ここで、龍の姿を確認しておきましょう。

龍の角は山野を走る鹿の角。頭部は駱駝、うなじは蛇。目は眼光鋭い鬼の目。腹は蚕(蚕は天に上る前の龍と言われているようです)。鱗は鯉の鱗、爪はするどい鷹の爪。掌は虎の手のひら。耳は牛の耳。「鹿、駱駝、蛇、鬼、蚕、鱗、鷹、虎、牛」これらの特徴を「龍の九似」と呼ぶそうですが、まさに無敵といったイメージです。さらに、龍の背中には81枚の鱗があり、口髭が生えています。喉の下に逆鱗(げきりん)と呼ばれる逆さに生えた鱗があり、声は銅板を打ったときの音に似ています。顎の下には輝く玉があり、頭の上には山の形をした博山(はくさん)、尺木(せきぼく)があります。以上のように龍の姿は人間の創造力の結集で、あらゆる動物の祖であり、あらゆる動物の頂点に君臨すると考えられています。

2、「雲は龍に従い、風は虎に従う」

中国古代の書物である易経には「雲従龍」とあります。龍が現れると自然と雲が湧き上がり、虎が走ると風が生まれます。龍は雲を捉えることにより勢いを増し、虎は風を捉えることで速さと威を表すとされています。

転じて、優秀なリーダーには優れた部下が集まり、良いチームには良い人材が集まるという意味。物事はそれぞれ似たようなものが一緒になったり、惹かれあったりするというたとえです。

3、「龍の髭を撫でる」「龍の顎(あぎと)の球をとる」

いずれも「虎の尾を踏む」と同様に、極めて危険なことをするたとえとして使われます。龍に近寄るだけでも危険なのに、髭を撫でたり、球をとったりなんて危険すぎる!といったところでしょう。「龍の髭を撫でる」と「虎の尾を踏む」は対になって使われることが多いことわざです。龍と虎はペアにされることが多いようです。

4、「龍の水を得るごとし」「龍は一寸にして昇天の気あり」

龍が水を得て昇天するように、強いものが一層勢いを得ること。また、時機を得て、大いに活躍することを言います。龍は英雄や非凡なものの象徴とされます。

また、俊才は幼少期から非凡であることを、たとえて「龍は一寸にして、、」と言います。「栴檀(せんだん)は双葉より芳(かんば)しい」と同じ意味です。

5、「龍頭蛇尾(りゅうとうだび)」「画竜点睛(がりょうてんせい)」

最初は龍のように勢いが良いのだが、終わり頃には蛇の尾のように弱々しくなることのたとえを「竜頭蛇尾」。物事の最も重要な部分や、大事な時期を「画竜点睛」と言います。

屏風に描かれた龍に目を描き入れると、たちまち龍が飛び出し天に登ったという中国の故事があります。「本年こそが、我が社の明暗を分けると言ってもいいでしょう。まさに『画竜点睛』です。ひとつひとつの工程に魂をこめることで、絵に描いた龍が本物の龍になり、天を駆けるぐらいの勢いと影響力を持つことでしょう」など。

龍の言霊で新年を祝いましょう。どうぞ佳い年をお迎えください。