コロナ禍での表情とオンラインコミュニケーション
コロナの影響により、マスクの着用やオンラインミーティングなど、コミュニケーションの現場が変容していることは多くの人が実感しているところです。元来、私たちはコミュニケーションを行うとき、視覚情報、聴覚情報、言語、匂い、周囲の環境などの非言語情報を感覚器が受け取り、それらを脳で処理して次の行動につなげていきます。その中でも表情から得られる情報はもっとも重要なものといえます。
コロナ禍の新しい生活様式は、重要な情報伝達機能である表情が機能しにくい環境であるといえます。オンラインコミュニケーションのポイントをまとめてみました。(参考資料 JAICO産業カウンセリング)
1、日本人の3S
日本人は基本的にシャイな人たちが多いと言われます。自分のことをあまり表立って言わずに、実力が10あったとしても2くらいで言っておくのが良しとされる文化があります。グローバル化が進んだ現在でも、世界の人たちが集まる会議では「日本人は3S(サイレント、スマイリング、スリーピング)だ」と言われているとか。
この特性が、オンラインコミュニケーションでは「伝わりにくさ」を助長しているという専門家の声もあります。
2、オンラインで「話させ上手」になるには
オンラインでのコミュニケーションでは、ひと工夫する必要があります。対面のときと同じく、オンラインでも印象は1秒で決まります。人は最初の1秒パッと目で見て脳で判断します。自分が相手を見ることに気を取られて、つい忘れがちですが、自分もまた同じように見られているのです。
対面の世界では人間の身体は15mぐらい離れていても状況を確認することができます。全身の姿から「元気そう」「様子が変」といった相手の様子を読み取れることも多いのです。しかしオンラインでは、フレームの中の上半身だけしか見えません。このフレームの中ですべてをパフォーマンスする必要があるのです。
「言語調整動作」とは、相手の話を止めたり促したりする動作のことですが、具体的には『うなづき』や『あいづち』のことです。オンラインのフレームの中ではリアルよりも活発に言語調整動作をすることをおすすめします。
ある実験で、オンライン会議の参加者の中に、たくさんうなづく係の人を一人混ぜたところ、他の参加者のうなづきも増えて、会議中の発言も増えたという結果があります。
リアルよりも3割増しで「うなづく」「あいづち」を打つことを実践してみましょう。
3、「声」の大きさとメリハリ、話すスピードは2割減
声の大きさも大事です。マイクの性能にもよりますが、一定の声量をキープしておくことは大事です。また、声の強弱も重要です。終始淡々と抑揚なく話をしていると、人はそれに慣れてしまい集中力を欠くことにもなりかねません。
専門用語で「プロミネンス」と言いますが、強調したい部分にメリハリをつけるとか、第一音声を意識してはっきり声を出すなどの工夫をすることで、相手の注意を引き、理解度が高まるという効果も期待できます。
話すスピードは2割減。対面では1分で400字を話すとしたら、オンラインでは320字程度です。ゆっくり話すとは、「ここまで大丈夫ですか?」という「間」を入れるということです。実際に声に出して言わなくとも、アイコンタクトをとり、聞き手の理解を確認しながら進めるといった具合です。これは電話で話すときの同じような要領です。
<オンラインコミュニケーションで準備しておくと良いこと>