ワクワクする「靴」を履きたい!
「身だしなみで重要なポイントを一つだけ挙げてください」と言われたら、私は間違いなく「靴がきれいなこと」と答えます。毎年この時期は、多くの企業で新入社員研修を行いますが、スーツを着ていても靴までピカピカに磨いている人は10人に一人もいません。
日本には「足元をみられる」ということわざがありますが、これは「弱みにつけこまれる」という意味です。江戸時代の駕籠かきが、客の足元をみて値段をふっかけていたことに端を発すると言われています。
私の知る社長は「靴は足に履かせるんじゃない、手に履かせろ」と、若い時分に指導されたそうです。靴を手に履かせると、細かい傷や縫い目の埃などがよく見えます。ポケットには携帯用の靴クリームを入れて、客先に行くときは靴を磨いてから訪問したそうです。「汚れた靴で行っては、お客様の会社を汚すことになる。そんな失礼なことがあってはいかん!」と。おかげで靴はいつもピカピカ。靴だけでなく営業成績もピカピカだったと。
また、「交通事故に遭う人の靴はくたびれている」という話を警察の方から聞いたことがあります。「靴を磨く時間のなさや、心の余裕のなさ」が、余裕のない運転につながり、事故に巻き込まれたり、事故を引き起こしたりするのではないかと。もちろんこれは全員がそうだというわけではありませんが、なんとなくわかるような気がします。
フランスでは「素敵な靴は、素敵なところに連れて行ってくれる」。イタリアでは「その人が履いている靴は、その人そのものを表すものである」ということわざがあります。
自らの名前で一大モードを築いたココ・シャネルは「いい靴を履いた女性は決して醜くならない」という言葉を残しています。靴を見直すことは人生を見直すことに通じるのかもしれません。
今はコロナで、外出には制限が伴いますが、コロナが収束した暁には、ワクワクするような靴を履いて、ワクワクする場所へ自由に出かけてみたいですね。靴を磨きながら妄想を膨らませ、その時を待ちたいものです。