ボストーク

湊町レター Letter From Minato-machi 2023(令和5)年12月1日 No.149

今年も最後の月12月となりました。英語でDecember。グレゴリオ暦の最後の月で、ラテン語のdecem=10から派生した名前です。気候変動が激しくなっていますが、今年の冬はどうなるでしょうか。

10月から施行された消費税のインボイスですが、事務所の作業も、徐々にインボイスの対応が始まりました。現状は、想定以上に処理に時間がかかっている感触ですが、初めての作業ですから気が付かないこともあるでしょうし、しばらくの間は試行錯誤が続くと思われます。

今月は、このインボイスについて感じたこと、考えたことを書いてみます。

まず、今まで以上に取引を裏付ける資料を確認して今さら気が付くことがあります。例えば毎月支払うスマホ料金は全額が課税取引と処理してきましたが、その中にスマホ本体代金の分割分が入っていればその部分は課税対象ではなくなります(買ったときの分は課税扱いです)。その結果、処理が正確になります。少額であっても、その積み重ねが経理の基本であり、エビデンス=証拠の存在は重要であることを改めて認識しています。

次に、私どもの事務所のお客様に関しては、改正に関するヒアリングを通じて、デジタル化に対する拒否反応があまりなかったという印象があります。日本の中小企業では、デジタル化による効率化が世界的に遅れていると言われています。しかし、日常生活でスマホを使う機会が増えていく中で、多くの方が自然にデジタル化に馴染んでいったのかもしれません。

このような意識の変化をどのように経営の改善につなげていくか、これが3番目の課題です。中小企業では、利益が出ると税金が出るのであまり利益を出したくないという考え方がまだまだ根強いところがあります。しかし、利益を出さなければお金は残りません。お金がなければ、経営の安定化は望めません。デフレからインフレという価値観の変化で、企業経営は上がっていくコストに対応して、売上をどう伸ばすか、利益を確保するか、そして現金を残すかということがとても大切になってきています。

そのためには正確な帳簿を効率的につけていくことが大切です。売上だけでなく、粗利益額(率)、売掛金残高の推移等々。経営者が把握しておかなければならないデータは山のようにあります。このデータを簡単に作成し、確認できる仕組み作りが求められます。インボイスや電帳法への対応は会社にとって少しだけ難しいものですが、これを逆手にとって、会社のデジタル化を推進し経営の安定化につなげる。そう考えると、今回の制度改正は会社にとって良いチャンスだった、といつか思えるのではないかと感じています。

来年は、チャンスをピンチに、です。