2023年の「今年の一皿」は「ご馳走おにぎり」でした。「ご馳走おにぎり」とはその名の通り、コメにも具材にもこだわった贅沢なおにぎりです。通常は具はご飯の中に隠れていますが、ご馳走おにぎりはイクラやエビなどの具が堂々とおにぎりの上に乗っています。見た目も豪華なら、値段もそれなりにお高いのですが、専門店の小さな窓口に行列ができているのをよく見かけます。
一般的にはあまり知られていない印象の「今年の一皿」ですが、ぐるなび総研の主催によって一年を代表する食文化を選定し表彰するというものです。過去には、ジビエ料理(2014年)や、タピオカ(2019年)が表彰されたこともありました。
2023年「ご馳走おにぎり」の表彰により、日本人のソウルフード代表と言える「おにぎり」や「コメ」への関心が高まるのは、喜ばしいことと思いつつ、ふと「おにぎり」と「おむすび」の違いが気になりました。
諸説ありますが、おにぎりは「鬼切り」、おむすびは「お結び」。鬼退治で握り飯を投げつけたところから「鬼を切る」魔除けや厄払いの効果があるおにぎり。
人と人の良縁を結ぶ縁起の良いおむすび。古事記には「むすびの神様」が登場し、万物の生みの神とされています。おむすびは、神様への供物でもあるため、山を神様に見立てた三角の形をしたものでした。一方でおにぎりは俵形や、丸型のものもあります。
地域によっても呼び名の違いがあるようですが、コンビニごとに商品名がちがうことも興味深いところです。ある調査によると、ファミリーマートは主におむすび、ローソンでは主におにぎり、セブンイレブンでは食べる直前に海苔を巻くものがおにぎり、それ以外の商品はおむすびなのだそうです。いすれにせよ、日本人のDNAに刻まれた食文化。おおいなる恵みに感謝していただきたいものです。