新型コロナウィルス感染症で揺れ動いた2021年も、ついに12月になっちゃいました。このレターでも、毎月コロナのことを書いていた印象ですが、その間に時間が過ぎ去ってしまった感じがします。そこで静かに終わっていけば良いのですが、ここに来て、オミクロン型という変異株が見つかり、世界の中で再び混乱が起きています。国民の大半が接種を終えたワクチンや開発が進んできた治療薬が有効なのかどうか。誰も経験のないことで、現時点では明確な裏付けが出せないものですから、マスコミ等での報道には少し距離を置いて冷静に見た方が良いと思います。ただ、医療関係者の話によると、この間、インフルエンザウイルスの流行がなかったことで、多くの方の抗体が落ちていると想定されます。昨年、コロナの感染が広がってきた頃に、「インフルエンザの方が死者が多いのだからコロナなど恐れることはない」という話をする方もいましたが、パワーアップするかもしれないインフルエンザウイルスがどんな動きをするのか、またインフルエンザ以外のウィルスのことも考え合わせると、感染症のことで落ち着かない日々はまだ続きそうです。
先月のレターにも書いたところですが、英国グラスゴーで開催されていた国連気候変動枠組み条約第26回締約国会議(COP26)は、11月13日成果文書を採択して閉幕しました。そこでは、「2100年の世界平均気温の上昇を、産業革命前に比べて1.5度以内に抑える努力を追求すること」が盛り込まれました。日本は世界の中でも石炭火力発電の比重が高く、環境問題に対する取り組みは世界でも批判されています。現在の世界の大きな関心は、生産性の向上から、持続可能性や多様性に移ってきているのですが、生産性の向上にやっと取り組み始めた日本は、他のテーマへの取組はまだこれからで、世界の潮流に大きく遅れていると言えます。
そこで気になるのは、政治がこの問題をどのように捉えているかです。COP26の会議を見ていても、岸田首相講演の報道はありましたが、例によって、外交の世界における日本の政治家の存在感は薄いという印象です。また、国際会議に出るのは良いとして、国内でこの大きな問題が議論されている光景を見たことがありません。国会での論戦に限らず、テレビの討論番組、Twitter等のソーシャルメディアなど議論する場はたくさんあるのに、です。世界から遅れている日本で、政治を憂える前に、私たちもそのような世界の潮流に目を向けていくことが大切であり、現実的な問題、国として避けることが出来ない問題になってきているという自覚を持って新しい年を迎えることになりそうです。来年もよろしくお願いいたします。