F&Aレポート

語尾がはっきりしない人は、話の全体がぼやけます

語尾がはっきりしない人は、話の全体がぼやけます

 たとえば、周波数の合わない雑音まじりのラジオを聞くのはどうでしょうか。いくら興味のある話であっても、ストレスを感じます。聞く集中力も途切れてしまいかねません。

 講演会などでは、マイクの音量が極端に小さい、ハウリングなどの雑音が入るなどは、設備上の問題となりますが、そもそも話し手の語尾がはっきりしない、発声に問題がある場合は、結局「わかりづらい話」「おもしろくない」「話が難しい」という感想に終わってしまいがちです。

 内容は素晴らしいのに、伝え方が悪いためにコミュニケーションの齟齬が生じてしまうのです。しかも悪いことに、多くの場合、本人はそのことに気づいていません。気づけば、まだ改善の可能性もあるのですが、気づかないので修正されることはほぼ皆無なのです。

 当たり前のことのようですが、口を意識して開ける(縦の口を開ける)だけでも、発声と発音は明瞭になります。説明レベルも格段に上がります。

 日本語は語尾で意味が決まります。「あります」なのか「ありません」なのかで、真反対の意味になります。語尾が不明瞭なのは、結果として、話全体がつかみにくい、わかりにくい話になります。交渉事やお願いごとが上手く進まないときは、案外そんなところにも原因があるのかもしれません。

 また「語尾」には、ホンネが表れます。「お願いです」「お願いします」「お願いできますでしょうか」「お願いできると幸いです」「お願いしたいと思います」。いずれも、語尾によって微妙にメッセージ性が異なります。「です」と言い切るのか、「思います」と濁すのか。気持ちが弱くなっているときや、はっきり言い切れない不確かさがある場合の語尾は、決まって「思います」が増えます。もし仮に、すべての語尾が「思います」になった場合のプレゼンテーションは成功は難しいでしょう。自分の耳でもしっかり語尾を聞き取れるような発声、発音でクリアーに伝えたいものです。