F&Aレポート

季節の行事は日本人流開運術

季節の行事は日本人流開運術

 お正月、桃の節句、七夕など、日本には季節ごとに古くから伝わる行事がたくさんあります。忙しい現代人は、これらの行事を特に気にかけることもなくやり過ごしてしまうことも多いのですが、「ちょっと待った!」です。

 実は、これらの行事は幸せを引き寄せる「開運術」なのです。

 昔、私たちの先祖は、自然界の脅威にさらされながら生きていました。明日の保障などどこにもない原始的な暮らしでは、生と死が常に隣り合わせです。「生きる」ことは「食べる」ことを意味し、食べ物があることが命をつなぐたったひとつの保障でした。農耕民族である日本人にとっては食べ物の中心は、粟やひえ、芋などの農作物でしたから、大地の作物が元気に育つことが、すなわち生きることだったのです。

 ところが、作物が元気に育つ保障もまた、当時にはどこにもありませんでした。今のような科学知識も技術もない時代には、すべては森羅万象の神様にお任せするしかなかったのです。そのような心もとない暮らしの中で、たったひとつだけ確かにわかっていることがありました。それは、農作物が育つためには、【今の季節が確実に終わり、次の季節が確実に訪れること】が必要だということです。

 春、土の中から出て来た芽は、夏の陽射しのもとすくすくと育ち、秋には豊かに実り、土に落ちた種は冬の土の中で栄養を蓄え春を待ちます。よどみない春夏秋冬の到来こそが、作物が順調に育ち、命をつなぐことでした。そのため、季節の節目ごとに天に大地に、神々に祈り、自分たちが収穫した作物を備えました。(皇室に学ぶプリンセスマナー 上月マリア著

 これらの祈りは時を越えて、宗教や思想、様式によって整えられ政治や生活様式に溶け込んでいきました。季節の行事は、日本人が祈りと叡智が詰まった未来を開き、幸せを引き寄せる開運術といえます。時には心を整え、季節の行事を見直してみたいですね。