良好なコミュニケーションのために 「関わらない」というZ世代型コミュニケーション
1、企業が高校新卒者に求める条件トップ3
企業経営者に「高校生の採用で重視することは?」「採用選考において不採用とする点はどのようなところか?」を尋ねたアンケートの結果でトップ3は、以下の通りとなりました。(令和3年11月 出典:厚生労働省埼玉労働局・ハローワーク)
高校生の採用で重視することは?(複数回答)
第1位 「コミュニケーション力」63%
第2位 「協調性」51%
第3位 「基本的な生活態度」42%
第4位「積極性/チャレンジ精神」、第5位「責任感」、第6位「職業観/就労意欲」
(以下、部活・生徒会活動、一般常識、学業成績)など。
採用選考において不採用とする点はどのようなところか?(複数回答)
第1位 「やる気・意欲が感じられない」74%
第2位 「挨拶ができない」61%
第3位 「欠席が多い」46%
第4位「質問の意図を理解していない回答」、第5位「言葉遣い」、第6位「服装」
(以下、志望動機・自己PR、書類不備・空欄)など。
2、良好なコミュニケーションのためには関わらないこと!
ある高校のガイダンスで「良好なコミュニケーションのためには、何をしたらいいと思いますか?」と、問いかけたところ次のような回答が実際にありました。
講師「職場で良い人間関係を構築するためには何をしたらいいと思いますか?」
生徒Aさん「仕事で必要なこと以外は関わらない。最低限必要なことだけを会話する」
思いがけない回答に、講師を務めた私自身は角棒で頭を殴られたような衝撃がありました。それは私がイメージする回答とは真反対の回答でした。(「普段から挨拶を欠かさない」「雑談をする」「職場の人を理解する」などが、必要なことだと考えていました)
生徒Aさんは、そもそも関わらなければ人間関係で悩むことも、傷ついたり、傷つけることもないと言いました。
賛否両論あるかもしれませんが、そのように考えている若い人(Z世代)もいるということを、私たち大人世代はまず知っておかなければならないような気がしました。
3、職場の「飲み会」は「無賃残業」?
昭和の時代なら、上司が「よし、今日は飲みに行くぞ!」と声を上げれば、部下は従うという暗黙のルールがありましたが、今は違います。「飲み会」なら事前に日程を調整し、費用は上司か会社持ち。参加は基本的に自由です。
知り合いのBさんも同様に、職場で部下に多少気を遣いながら飲み会を企画したのですが、数日後その飲み会に参加した男性新入社員のインスタグラムに「無賃残業(=飲み会)も悪くないね」と書かれているのを同僚が発見したのです。Bさんは「無賃残業」という表現にがっかりしてしまいました。
ここには二つの教訓があります。一つは、現代ならそのような価値観もありうるということ。それを好ましく思うか否か別として、これも一種のダイバーシティ(多様性を認める)と受け止める必要があるということ。「飲み会」がコミュニケーションだった昭和世代には受け入れがたいかもしれませんが。
もう一つは、インスタに仕事や会社の情報は極力控えるという、ネット社会の当たり前のルールです。ちなみに「無賃残業」と評した新人さんは、入社1年を待たず退職したそうです。欧米では「コミュニケーション学」という学問があるほどです。良好なコミュニケーションは難しいのだと覚悟を決めて臨みましょう!