「92歳総務課長の教え」に学ぶ 2 ~一生使える仕事力 成長するための小さな習慣
●「92歳総務課長の教え」を今年80歳になる母に勧めると、読み終えたあとに「とても92歳とは思えない。考え方の若々しさ、柔軟さを感じた」「一社員であるにも関わらず、会社の方針を理解して、会社全体のことを考えている」と、感心することしきりでした。
● 世の中にパソコンが登場したときに、「こんなに便利なものがあるんだ!」と喜び、受け入れ、毎日ワクワクしながら習得をしたという玉置さん。同時期、世間には新しい機器になじめず、玉置さんとは逆に習得を嫌がった人もたくさんいました。変化を受け入れるどこまでも前向きな姿勢が今の地位を築いたのでしょう。前回につづき「世界最高齢の総務部員」としてギネス世界記録に認定された玉置泰子さんの著書から「挨拶」「ほうれんそう」について抜粋します。(世界一仕事が楽しくなる!「92歳総務課長の教え」玉置泰子著 ダイヤモンド社)
1、上司や先輩が率先して挨拶をする
挨拶は掃除と並ぶ凡事徹底であり、コミュニケーションの基礎です。
お客様には挨拶ができるのに、職場内だと満足に挨拶ができない人もいます。「おはようございます」「お疲れ様でした」を気軽に明るく交わせる職場でありたいものです。
明るく挨拶が飛び交う職場には、規律と一体感と適度な緊張感が入り混じり、それでいて、なんでも自由に話せる風通しの良さがあります。
自由に話せる雰囲気があれば、会話を交わすうちにお互いが刺激を受けますし、すべてがガラス張りになりやすいので、新たなアイデアも仕事上のミスもオープンになり、情報共有も自然と進みます。上司もベテランの域に達すると、部下の挨拶の声の調子から「今日は声が小さくて元気がないな」「忙しくて無理をしているのか」などとコンディションを把握できるようになってきます。職場に挨拶の声が足りないと感じたら、上司や先輩から率先して挨拶をしましょう。上司が模範を示せば、職場全体に挨拶の習慣が広がります。「挨拶をしよう」と繰り返しいうよりも、上司自身が毎日明るく挨拶をしている姿を見せた方が断然効果的です。
2、「ほうれんそう」に『お返し』をする
「報告、連絡、相談」の重要性はあらためて指摘するまでもないでしょう。私が最も大切だと思っているのは、仕事の目的と期待を確認することです。優先順位に応じて、何をどう進めるかが定まるからです。
一般的に「ほうれんそう」は、部下が上司や先輩にするものだと思われがちですが、私はその一方通行で終わらせません。部下や後輩が「ほうれんそう」してきたら、上司はそれに対してお返しをするのです。
部下や後輩が「ほうれんそう」をしてくれたら、どんなに忙しくても顔を上げて親身になって聞くようにします。そして「忙しいのにありがとう。引き続き、よろしくお願いしますね」と声をかけるのです。
部下が納期までに依頼した仕事を終えたら、「よく間に合ったね、大変だったでしょう。ありがとう」と感謝と労いの言葉をかけます。上司や先輩から「ほうれんそう」のお返しがなかったら「依頼通りに仕上げられているでしょうか?」と催促してもいいと思います。
部下が「ほうれんそう」して、上司がお返しをしていると、組織内コミュニケーションが活発になります。それが風通しをよくして、組織の活性化とパフォーマンス向上につながるのです。
3、「相談」に上司も部下も先輩もない
「ほうれんそう」の中でも『相談』は最も重要です。相談する場合には「知っていること」「知らないこと」、「わかっていること」「わからないこと」を分けて、頭を整理しておくことが大切です。知ったかぶり、わかったふりをしていると、あとで痛い目にあうこともあります。見栄を張らずに素直に相談することが大切です。相談すると疑問点が解決するうえに、コミュニケーションがより円滑になります。相談された側は頼られていると実感できるので嬉しくなりますから、意思疎通がよりよくなります。相談すること、学ぶことに、年齢も役職も、性別も関係ありません。私も困ったことが生じると若い人に相談し力を借ります。70歳くらい年下に頼れるのは私の処世術のようなものです。